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2024-07-29
「歴史伝える住宅 後世に」という新聞の見出し。
都内の自治体で江戸や近現代の歴史的住宅建築を復元する
動きが相次いでいるという報道で、武蔵野市では吉祥寺の
「旧赤星鉄馬邸」を保存活用するとのこと。
アントニン・レーモンドが設計した、1934年竣工の鉄筋
コンクリート造の住宅が3年前市に寄贈され、これを耐震化し
保存・活用しようというもので、残念ながら公開期間は終了。
次に載っていたのが小平市にある彫刻家・平櫛田中(ヒラグシ
デンチュウ)が晩年暮らした1968年築の旧宅と美術館。
私はこの彫刻家をよく知らなかったのですが、1872年に
岡山県で生まれ、1897年上京して高村光雲の門下生に。
その後岡倉天心などの影響を受け、仏教や中国の故事などを
題材にした作品を残した近代日本を代表する彫刻家でした。
長らく台東区に住んでいた田中が玉川上水の風景が気に入り
戦前に小平の土地を購入。1970年98歳の時ここに自宅を
建て転居。この設計は国立能楽堂などを設計した大江宏が手掛け
田中は107歳で亡くなるまでここで現役を続けたとのこと。
彼の作品の中で最も有名な一つ、国立劇場にある「鏡獅子」の
1/4のスケールのものが展示してありました。昭和11年から
20年をかけて創られたこの像は、昭和初期以降、邪道とみなされ
ていた彩色の使用を試みながら、生れた傑作だったようです。
玄関脇の樹齢500年の楠の巨木は、田中が100歳のときに購入、
「鏡獅子」に匹敵するものをまだ彫るつもりだったという。
私は今まで木彫は馴染みがなかったのですが、楠木正成の
「楠公」や松尾芭蕉を描いた「蕉翁」など、館内は撮影禁止
だったので、購入した立派な作品集を見て楽しんでいます。
「楠 公」
「蕉 公」
「良寛上人」
テーマ名
ページ作成日 2024-07-29
2024-06-25
昨年3月にブログで取り上げた「自由が丘」、大井町線
沿いに商業施設があるというので行ってみました。
「トレンチ自由が丘」というショッピングモールで
大井町線の電車庫が廃止された跡地に2006年に開業。
かつてここあった自由が丘検庫区が1966年に廃止され
その後大井町線の車庫になっていたので、そこにあった
廃レールや枕木がこの敷地内に使われているそうです。
名前の由来は「トレイン+おうち」で、緑豊かな
屋外空間に加えて、居心地の良さそうなラウンジには
カフェやレンタルスタジオがありシェアオフィスに使う人も。
駅のガード下には自由が丘の歴史を示すパネルがあり、
1927年に東横線が開通したときの駅名は「九品仏」で
2年後に大井町線の新駅ができた際、この駅名を譲って
ここに住み自由を重んじる人々が付けたのが「自由ヶ丘」。
戦後は線路沿いに闇市が立ち並び、鉄筋コンクリート造の
自由が丘デパートができて映画館6軒も加わり賑わいを見せ
1980年代には「anan」などの女性誌にファッション・雑貨
の街として頻繁に取り上げられ、全国的にも知られるように。
現在の自由が丘デパート
さて昨年から着手した再開発は、駅前広場の右側エリアの
解体がほぼ終わった状態で、2026年7月完成を目指して
約4,000㎡の敷地に地上15階の、商業施設と集合住宅の
複合施設が完成する予定です。
そのきっかけは意外!二子玉川や武蔵小杉の発展を見て
地元の有力者が、建物の老朽化も含めた街の危機感を感じて
徐々に地域の人達がそれに共鳴し、自分たちで再開発を決心
したそうで、デベロッパーや自治体主導ではなかったのは、
いかにも「自由が丘」らしいと感心しました。
完成予想図
テーマ名
ページ作成日 2024-06-25
2024-05-27
この春、新聞に「江之浦アート×観光」という見出しで
「江之浦測候所」が紹介され、初めてこの施設のことを知り
すぐあとNHKの日曜美術館でも取り上げられていました。
世界的な写真家で現代美術作家の杉本博之氏が構想から20年
を費やして2017年に開所。箱根の外輪山を背にギャラリー棟
石舞台、茶室など敷地全体の設計も自ら行ったとのこと。
東海道線で小田原の2つ先の根府川駅で下車、送迎バスで
相模湾を見下ろしながら丘陵地を5,6分上がって行くと
眼下に真鶴半島の一部まで見渡せる駐車場がありそこで下車。
「甘橘山」の表示の脇から山道を登ると途中に「Stone age Café」
と刻まれたカフェが。テーブルとカウンター席は自然石を加工
したもので、この山で取れた柑橘の飲物がとても美味しい!
入口に着くと右側には「明月門」。室町時代に建てられた
鎌倉のお寺の門が関東大震災で半壊して都内に移築され、後に
根津美術館の正門として使われていたものが寄贈されたそうです。
そして右奥には長さ100mのギャラリーが。素晴らしい建築で
これは「夏至光遥拝ギャラリー」と名付けられ、先端部は
海に向かう持ち出しの展望スペースで、壁面は大谷石が積まれ
もう片方は全面ガラスで、屋根が片持ち梁のため柱は1本もなし。
夏至の朝、海から昇る太陽光がこの空間を数分間照らすのです!
また冬至の朝は「冬至光遥拝隧道」と名付けられたトンネルを
貫くのですが、この上部は絶好の撮影ポイントになっています。
最後になぜ「測候所」なのか?このように建物の中心線を東に
延ばせば、夏至と冬至の日に水平線から昇る太陽の位置に合致する
ように設計されているところから来たのでしょう。
テーマ名
ページ作成日 2024-05-27
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