≪vol.001≫
お客様インタビュー中島 正行様
「建てて、人に貸すだけじゃあ、面白くない。」
今回正行さんは、積極的に建築に関わってくださった。「形は前の母屋をそのまま持ってくるようなイメージで、自分で図面を書くことにした。最初から共用住宅とあわせることはもともと検討していた。」昔、住まわれていた暮らしを引き継ぐように、図面にはその思いがのせられていた。
―図面を書いてみて、どうでしたか?
「階段が難しい。階段をL字に入れようとしても、2階にどう続くのか自分では分からない。」
とはいえ、手書きで書いた設計図は、寸法もきちんと測って描かれている。設計の実原(じつはら)は、「施主様の思いをどこまで実現できるか」というところを焦点に、建物の角度の調整、周辺に及ぼす日陰の影響を計算しつつ図面におとしていった。
上階の賃貸部分にあわせて柱の位置や廊下の幅が決まるので、その影響で自宅部分の廊下の幅も広くなる。廊下は本来1m20cmあれば十分だが、この自宅部分では3mになるところもある。
しかし、そこも有効利用。壁上部に窪みをつけ、好きな絵画を飾る鑑賞スペースとなった。
正行さんの書斎には、どれも白い壁に映えそうな絵画が重ねて置かれていた。
「上階で選んだ壁紙もそうだが、ごちゃごちゃした絵が好きで。」
ごちゃごちゃした・・・というのはどういうものか。室内の壁面に、そのイメージを見ることが出来た。
階段を上がると、目の前にはなんとも鮮やかな色彩。
複数の色が巧みに重なり、組み合わさっている。素敵なセンスに驚かされる。
当初、奥様の真由美さんは「本当にこの壁紙にするの?」と確認するも、正行さんがその選択を変える事はなかった。
階ごとにそのテーマは異なっていて、壁選びも楽しまれているのが分かる。
「中央に位置する《坪庭》も、なんとなく入れてみた。」
というおもしろさ。3階から光が差し込み、そこを取りかこむ階段の洗練された「白」は、コンクリート打ちっぱなしの壁に、白い意匠を施した大工こだわりの仕上げ。この真っ白さが、先ほどの色彩豊かな壁紙をさらに引き立たせている。
「配置などは構造上変わるところもあったが、ほぼ自分が最初にお願いした形に。」
「前の建物からお願いしているメンバー。工事に入っている業者さん、たとえば電気やさんも同じ方で話しやすかった」と正行さん。
施主様含め、この現場はチームとして創りあげた、家自体がまるでひとつの「作品」のようだ。
―ジェクトの印象は?
「《川崎組》時代から木造→鉄筋→コンクリートへと移行されてきて、こうしたらいいという沢山の経験を基に良いものが出来るんじゃないか、と思った。地元にも定着していて、ボランティア的なことをされててすごいよね。」
「賃貸の管理って大変なんじゃない?」
―ところで、今回の賃貸部分はジェクトの「一括借り上げ(サブリース)」をご選択された理由は?
「賃貸部分の詳細はジェクトにお任せしたよ。」
「前の物件の不動産屋ももうやめてしまうという。鍵をなくしたら、夜中にもTELがかかってくるので、嫌になったとのこと。夏の暑い時期だとエアコンや給湯器が壊れてくるし、大変なんじゃないだろうか。」
うちは緊急対応のホームレスキュー24に入ったからね、ジェクトも地元だし、と取材に同席していた営業の林(はやし)と正行さんは笑顔で顔を見合わせた。実は前回奥様のお姉様のご自宅の新築をきっかけに、今回も林さんを、と声をかけて下さったのだ。
「うちがネコを飼っていて、賃貸はダメというのはどうかと思って」
猫を7匹も飼っていて、ペットがすべりにくい仕様の床にしてもらった。壁にも「見切り」が入っており、猫が引っかきやすい下側の壁紙と下側とで張替えを別にできるようになっている。これによって、原状回復負担減が見込める。
これまでジェクトが手がけている「ペットケアマンション」ほどの設備は入れていないが、それでも経験上、賃貸でペットを飼うことで出てくるデメリットを出来る限り取り除く工夫をこらした。
「芝をつくりたい。ゴルフの練習場になるから(笑)」
この後は、お庭の改修と、芝生を作られる予定。芝生はお孫さんの遊び場にもなりそうだ。
これまでお父様が住んでいた敷地を改修する上で、残したものもあった。
玄関横にある立派な松や、池もそのひとつ。
「嫁いできたときの松を、家族で分けた。兄弟家族の中でもこの松を残しているのはうちだけ。」
「小さいころ、鯉を自分で買った。岩を安く売ってくる業者がいたので、岩を敷き詰めて「心」の形の池になった。また、池を作るのだけど、そのコイの仮住まいも作ってくれて。」それをうちの特徴のひとつにしなよ!と正行さんは笑いながら仰ってくださった。
―最後にお聞きしたいのですが、ジェクトに期待していることは?
「ジェクトで建ててよかったね」と言われる会社でいてほしい。
それを聞いて、本当にそのとおりだな、と社員にとって身の引き締まる言葉だった。
これからも地域にとって「この会社なら」と呼ばれる会社であり続けたい。
担当者からのコメント
営業担当 林
「奥様のお姉さんのご自宅を担当したのがきっかけで、中島様から今回の建物に携わる機会を頂きました。ショールームをご案内して、クロスを選んだり、室内の設備を確認してもらう機会もありました。お二人が楽しそうに家作りをされている様子を見て、こちらも楽しく家作りができたことに感謝しています。施主様とそれぞれの分野でエキスパートな技術を持った社員が一丸となってチームでよりよいものを作り上げていったという実感があります。」
工事担当 飯野
「やはり坪庭は、普通の部屋に比べて縦横の幅狭いため、仕上げが難しかったです。オーナー様に残して新築に活かしたい部分も確認し、新しくする部分、残す部分を明確にして作業を進めました。
逆に、大工の意匠が見られる階段部分の仕上げは、壁紙を貼らずにそのまま残してはどうかと、オーナー様に提案(リクエスト)しました。」
設計担当 実原
「事前に施主様からこの敷地に物件が建てられるかどうかの確認がありました。確かに土地柄、難しい(第一種低層住居地域)場所ではありましたが、条件を満たせば建てられる状況をお伝えしました。すると、次の会議のときにご自身で書かれた設計図をもってこられた時にはすごいと思いました。これまでに賃貸物件を設計させて頂くことがありましたが、今回はご自宅ということもあり、思い入れがあったのだと思います。ほぼ完璧な設計図でしたが、坪庭が梁や柱などの関係で調整が必要でした。また、建物全体でも、施主様のリクエストに出来る限りお答えできるよう、建物の角度の調整、周辺に及ぼす日陰の影響を計算で導き、説明できる資料を準備しました。
施主様がネコを数匹飼われているため、鍵のかけられる「ネコの部屋」には、図面上で独自にネコマークをつけています。」
不動産仲介担当 嶋田
「中島様にお伺いした際、すでにサブリースにしたいというご意向がありました。賃貸部分をどういう仕様にするかという面では、オーナー様が猫を飼われているのは存じていましたので、賃貸も猫の飼育可能にしてはどうかと提案しました。そうすれば、賃貸にも猫を好きな人が入ってくる可能性が高い。同じ建物だからこそ、お互いに過ごしやすい雰囲気を作ることがベストだと考えています。」