お客様インタビュー氷川神社宮司 山口直英様
氷川神社(東京都品川区)の社殿建築を請け負った棟梁の市川重太郎。
当時、二代宮司 山口直麿様は、23歳の若さで社寺建築の確かな技能を身に付け、
大勢の職方をしっかりと統率する重太郎と意気投合しました。
重太郎は、匠の技と心で山口様の期待に応え、氷川神社社殿を作り上げました。
上棟式で重太郎が心に誓ったのは、
完工の日に「お客様に笑顔になっていただくこと」でした。
100年前から今も変わらないジェクトが目指すものです。
市川重太郎は23 歳のとき、氷川神社社殿建築の棟梁として腕をふるいました。「おしゃれな帽子をかぶってドイツ製のオペルレコルトに乗って、現場に来られた重太郎さんを覚えています」(山口直英様)
重太郎は、三代宮司山口直比古様が神社の神宝である「鉾の八剣紋」を神紋にしたいと考えていたことを知り、自らスケッチを描いて賽銭箱に彫り込みました。
「いいお屋根」といわれる権現造り
氷川神社四代宮司 山口直英様に、市川功一ジェクト社長が社殿建
築当時の思い出を伺いました。
「氷川神社の創建は江戸時代に遡り、元禄より前とされています
が、現在の社殿は昭和13(1938)年9 月20 日に再建されたものです。
再建の経緯や工事の記録などの資料は、残念ながら昭和20(1945)
年の東京大空襲で社務所とともに焼失してしまいましたが、幸いに
も社殿は奇跡的に残りました。
東京都内の由緒ある神社の多くは戦災を被り、近年再建された社
殿はほとんどが鉄筋コンクリート(RC)造りとなりました。当氷川
神社社殿は都心では数少ない伝統的な権現造りの木造建築物です。
正面から見ていただくと、唐破風と千鳥破風の組み合わせの本殿と
拝殿とが交わる部分の建築は曲線が絶妙で、美しい建物として定評
があります。
見学に来られたある宮司さんが、荘厳で優美な社殿を見上げられ
て『いいお屋根ですね』と一言おっしゃいました。都心で社寺建築
の伝統の木造社殿を守り、ここまで来られたことは、大変ありがた
いことです。氏子さんや地域の皆さんにも感謝しております」
重太郎の技と心が作り上げた「いいお屋根」は、これからも地域
の皆様を見守り続けていくことでしょう。
氷川神社宮司 山口直英様