市川社長のブログ
アメリカ不動産視察 その3
- 2014年11月27日 09:00
ピッツバーグの2日目はまず地元のピッツバーグ
大学を訪問しました。この本部棟は42階建ての
ゴシック建築でアメリカの大学では最も高い建物です。
ここの2階には各国の建築様式を取り入れた教室があり
日本は民家風の感じで、フランス風やスイス風などがあります。
また2階から見た風景は教会の聖堂そのもので大学の
建築としてはとてもユニークです。
またピッツバーグは鉄鋼王カーネギーが活躍した地で
美術館や音楽ホール、カーネギーメロン大学などがあり
時間がなくとても全てを見ることはできませんでした。
お昼は前日のお礼にケファーさんたちをイタリアン
レストランの昼食へ招待しました。
午後は、やはり大富豪のヘンリー・フリックの自宅や
美術館があるアート&ヒストリックセンターを見学。
またポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルも
ピッツバーグの出身で、その美術館は一人の芸術家に
特化した美術館としてはアメリカ最大とのことです。
ピッツバーグ最終日は、今回のツアーの目的の一つ
フランク・ロイド・ライト設計の「落水荘」の見学です。
デパートを経営するカウフマンは郊外の所有地に別荘を
建てたいと考え、息子の先生のライトに設計を依頼しました。
一般的にライトの住宅は天井が低く、この落水荘も例外では
ありません。アメリカ中西部に多い「プレーリーハウス」と
呼ばれる彼の低層住宅は水平線を強調し屋根は低く、広い大地と
一体になった感じがします。この落水荘も同じで天井高は
場所により違いますが高い所で190㎝くらいでした。
キャンティレバーの庇は、その長さと厚みの薄さは日本で
決して見ることのできないもので、これがどこか日本建築と
共通する印象を与えます。10年前に大改修をしたようですが
地震のない国で初めて実現できる形状だとつくづく思いました。
アメリカ不動産視察 その2
- 2014年11月25日 21:24
今回ニューヨークで印象に残ったのは道路の渋滞と
道を往来する人の多さです。経済活動も活発であろう
ことを示唆しいているようでした。またガイドによると
ニューヨークは全米で安全な都市NO.1に5年連続で
選ばれたそうで、安全になったとは聞いていましたが
それほどまでとは・・・。
31日にはピッツバーグへ。まずホームセンターへ行くと
キッチンや洗面台から電化製品まで置いてあります。こっちには
大型家電店はないのでしょうか?私はカラフルな塗料に興味が
あったのでパンフレットをいくつか持って帰りました。
そしてケファー家を訪問。ここは私の家内の古くからの
知人で、閑静な住宅街の小高い丘の上に建つこの家は
築後100年を過ぎていて、私たちは全員でお昼をごちそうに
なりました。キッチンの横にある家族用の食卓は4人掛けで
来客用の食堂は私たち12人が座れる広さでした。
ケファーさんは賃貸住宅の経営を行っていてご主人を
亡くしてから自ら管理業務を行い、入居者探しは
不動産会社の仲介ではなくCraigslistというサイトを
利用して自分で行うそうです。そして家賃の支払いは
70%が小切手の郵送で、これはニューヨークでも同じ
でした。よほど振込手数料が高いのでしょうか?
そのあと、ケファーさんの友人宅を訪問。この建物は
3階建ての分譲タイプで全体が北欧系のデザインです。
ここはコーポラティブハウスで、入居希望者が集まって
協議しながら土地の取得や設計を決める方式です。
コンドミニアムと違って組合の力が強く、売却のときも
承認が要るとのこと。管理費には電気代、ガス代等が
含まれるが7万円とやや高め。1階には工房のような
部屋があり、DIYは日本よりかなり盛んなことが
容易に想像できました。売る場合は2,000万円後半
貸す場合は14~17万円くらいとのことでした。
アメリカ不動産視察 その1
- 2014年11月14日 11:28
10月29日から今月5日にかけて当社のお客様ほか
12名でアメリカ東部の不動産視察に行ってきました。
まずニューヨークは知人が紹介してくれたTaichi不動産の
社員が迎えてくれました。。この会社は留学していた日本人が
1989年に創業、現在社員30人を抱える規模になっています。
29日の午後、対照的な3つの物件を案内されました。
最初の2つは築100年前後の集合住宅で驚いたのは
構造が木造なのです!地震がない国にして可能なのでしょう。
次は新築の63階建てのビルで、モデルルームから
ハドソン川を見下ろす景色は絶景で、部屋の広さは30坪強、
家賃は約120万円でした。日本だと青山あたりの家賃でしょうか。
ニューヨークで意外だったのは入居者が法律で保護され
家賃の上昇率は法律で決められ、滞納があって裁判をしても
簡単には退去させられないこと。但し賃貸の空室率は1%位で
売り手市場、アメリカの中でも特別な地域のようです。
この日はF.L.ライトの設計によるグッゲンハイム美術館も見学。
大きな吹き抜けを囲むらせん状の展示スペースは独創的で
代表作の落水荘とは異なる作風ですがニューヨークにピッタリです。
翌日はロックフェラー一族の住まい「カイカット」へ。
敷地は約30万坪、ハドソン川を見下ろす丘の上の建物から
向こう岸まで見える範囲は全部土地購入!地下室にはピカソが
依頼を受けて作成した素晴らしいタペストリーが何枚も!
マンハッタンに戻りグランドセントラル駅で昼食を取ったあと
バッテリーパークまで下り、自由の女神像を海越しに望みました。
最後は2005年訪れたときは何もなかった911メモリアルパークへ。
ツインタワーの跡地に池ができ、104階建ての新貿易センターも完成
間近ですが、あの大惨事の傷は簡単には癒えないことでしょう。
エンパイアステートビルには夕食のあとへ行って夜景を楽しみました。
ここでも入口は空港並みのボディチェック体制でした。
上野の森と北斎展
- 2014年9月29日 10:19
上野でボストン美術館の北斎・浮世絵展があり
先週末初めて「上野の森美術館」を訪ねました。
この展覧会は昨年末、名古屋を皮切りに神戸、
北九州と廻って9月からここで開催されています。
ボストン美術館は日本美術のコレクションでは
世界有数だそうで、その中には4年前にたまたま
私が購入した復刻版「諸国瀧廻り」のオリジナルも
含まれていて、東京での開催を待っていました。
上野駅の公園口に出ると少し風景が変った感じがしました。
駅前の映画館が入っていたビルが、ガラス張りのモダンな
建物に建て替えられたのです。事業主は矢島建設、そして
三菱地所がマネジメント支援となっています。
興味を持ち調べると、この会社は1917年に創業された
資本金5000万、社員15人の建設会社。銀座7丁目の本社は
自社ビルのようで、大家業が主の?建設会社なのでしょう。
上野駅を右手に見ながら長い歩道橋を上がると
東京文化会館に出て、そこを左に曲がると美術館にたどり
着きますが、駅側から見て気が付きにくい建物です。
ボストン美術館には5万点の浮世絵コレクションが
あるそうです。90歳という当時としては稀な長寿、しかも
晩年まで創作活動を続けた北斎は、それだけでも比べるものが
ないのですが、これだけの作品がアメリカに流出したのは
当時の日本での評価は低かったのでしょうか。
チラシには本格的な北斎の回顧展を開いたのは120年前の
ボストン美術館が世界初と書かれ、載っている絵のなかで
左上の「諸国瀧廻り」の2枚が大きく目立っています。
このシリーズ8枚は何度見てもその構図と色彩感が素晴らしく
私はよく知らずに復刻版を偶然手に入れましたが、北斎の中でも
白眉なものなのかもしれません。
大家業
- 2014年8月28日 22:39
都内で独特の賃貸事業を営んでいるオーナー
青木純さんのことは著書「大家も住人もしあわせになる
賃貸住宅のつくり方」のほか、目にしたり耳にしたり
することが多く、私が最も関心のある若手大家さんです。
その青木さんに、昨日当社で行われたオーナー座談会で
2時間お話をいただきました。まず「賃貸住宅は
いま厳しい状況で、今後さらに厳しくなると思う」という
言葉から始まったのは少々驚きました。
今春完成した「青豆ハウス」も含め、現在彼が管理する
物件はキャンセル待ちが100人以上いると言われている
状況でのこの発言には重みがあります。
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"できる前から関わる人みんなが一緒に育てる賃貸住宅"
と建築雑誌に紹介された「青豆ハウス」
次の言葉は「私は賃貸が好きじゃありませんでした」
大学を出て不動産会社に勤め、売買仲介に携わっているとき
賃貸住宅はとてもプアに見えたそうです。
会社を辞め大家業を受け継ぎ、考えた空室対策は入居者が
壁紙を自由に選べるということで、これが当たり入居者が自由に
造作できるDIY賃貸や、さらに間取りから一緒に作っていく
オーダーメイド賃貸へと発展してきました。
彼が重要視していることはクロスを選ぶ作業を通して
入居者と過ごす時間で、これでお互いの距離が縮まり
完成した暁には自分の住居のように感じ、見学は勿論OK
来た人に手製のクッキーまで振舞ってくれるそうです。
青木さんは入居者の結婚式に呼ばれるようになり、究極は
マンションの屋上で挙式した人が出てきたこと。
「どこに住むか」より「どうやって暮らすか」を重視する人が増え
今は「本当に満足できる住まいは賃貸住宅にある」と言い切ります。
けさNHKのニュースを見ていたら、DIY賃貸が取り上げられ
その中で青木さんが取材されているではありませんか!
"大家業はエンターテインメント業"という著書の中にある
フレーズは深く私たちに響く名言です。
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