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2015年5月 Archive
日本文化交流会
- 2015年5月26日 20:02
先週末は、ロータリー平和フェローのための日本文化
交流会に参加し、紙漉き、そば打ち、そして川越の街を
私も初めて体験しました。
朝大宮駅前に集合、バスで一路東秩父へ。この地域の
農家では、古来清流を利用して手漉き和紙を農閑期の
副業として作り、特に江戸以降は障子紙などの需要が増え、
紙漉き農家は800戸までになったとのことです。
現在東秩父村の人口は約3000人。ここ「和紙の里」で
この伝統技術を公開しながら後継者に伝承しています。
敷地内には江戸末期の紙漉き農家を移築復元した屋敷などが
ありましたが、時間が無く遠景をカメラに収めるのみ。
私たちはまず和紙を漉いて、水を切ったあと草花を
その上にめいめい乗せてオリジナルな図案を作ったあと
2時間乾かして10枚のはがきを受け取りました。
そば打ちの体験は敷地内の別の施設で行い、自作のそばで
昼食を取ったのですが初めてにしては美味しくできました。
そのあと川越へ向かい、「一番街蔵通り」を約1時間散策。
この通りで一番目を引くのは「やまわ」という陶器店です。
川越で1000戸が焼失した大火があった直後の明治26年に
建てられた蔵作りで、倉庫と店舗や住宅を併用しているので
「見世蔵(店蔵)」とも呼ばれるそうです。
私が意外に思ったのは、明治以降の洋風な建物も何棟か
あったことです。一番大きなものは埼玉りそな銀行で
竣工は大正7年で、昭和2年完成の川越商工会議所など
蔵造りの建物のなかで異彩を放っていました。
川越は「小江戸」とも呼ばれますが、江戸時代以前には
むしろ江戸を上回る都市だったとのこと。これだけのものが
残っているというのは、戦災や震災に会わなかった幸運もあると
思いますが、古いものを大切にした先住者の総意なのでしょう。
葉山の住宅
- 2015年5月13日 08:06
フランク・ロイド・ライトの弟子の日本人建築家、
遠藤新が設計した住宅が葉山に残っていて、4月末より
特別公開されることを知り、連休最終日に出かけました。
JR逗子駅からバスで約10分、一色海岸の少し手前で
バスを降り、狭い道を上がって行く坂の途中に「加地邸」
があります。敷地まで車では行けないので、建築資材は
すべて人力で運んだのでしょう。
門から少し小高い敷地を見上げると、まず大谷石で
できた建物の玄関が目に入りますが、この第一印象から
「ライト」そのもの、という感じがします。
住宅の竣工は昭和3年。家具や照明も遠藤新による
デザインで、これらにもライト色が継承されています。
三井物産のロンドン支店長も勤めた加地氏、今もその親族が
所有していますが、今後どのように維持していくのでしょうか。
その後海岸まで歩き、神奈川県立近代美術館・葉山館へ。
高松宮邸跡地にできたこの美術館は、海辺の立地が
素晴らしく、付属のカフェでお茶を飲む気分は最高!
この周辺に人があまり来ていないのは不思議なくらいです。
私は30年近く前に御用邸から少し上がったところで
当時有名だった建築家が設計した住宅を施工したことを
思い出しました。周辺を行ったり来たりして、ついに
特徴ある円錐形の屋根の家を見つけたのです。
表札を確認してインターホンを押すと、ご主人が出てこられ
ました。少し前に外出から帰られた様子で、突然の訪問にも
かかわらず、私と家内を邸内に招き入れてくれました。
斬新な内部空間は年月が過ぎても変わっていません。奥様に
お茶とクッキーまで出していただき、小1時間いろいろなお話が
できました。30年の空白を越えてお客様とのつながりを実感でき
何か満ち足りた気持ちでお宅をあとにしました。
レストラン「カシータ」
- 2015年5月 7日 19:07
青山の"奇跡のレストラン"「カシータ」のオーナー、
高橋さんの講演を聞くチャンスが先月下旬にありました。
この日集ったのは建築業者で、高橋さんは10年前に
東京郊外に自宅を建てた時の話をしました。
工事中、現場に打合せで呼ばれて行くと、3台分の駐車場は
一杯で停められず、雨の中外で作業している人に挨拶しても無言。
「仕事に真剣」でも「お客様に真剣」とはいえない態度。
業者は"いい家を建てたい"だが自分は"いい家に住みたい"。
1年後に不具合があり営業所に電話すると「担当者名は?お宅の
電話番号は?」と聞かれたとのこと。カシータでは毎日100人中
30~40人のお客に1階の入り口で名前を言って挨拶をしている。
建築業界は3,000万円の顧客の情報がどうして分からないのか?
「日本で一番お客目線でない業界は賃貸ビジネス?」と不動産業
にも言及。高橋さんは青山のビルを3フロア借り、10年で1億位
家賃を払っているが、大家からお礼を言われたことが無い、と。
他業種での高橋さんの驚くべき体験は「リッツカールトン大阪」。
ここへ泊る時いつも名前で挨拶されるが、ある時チェックアウト
のためフロントへ向かう途中、ある部屋でスタッフがベッドを
直していたので「ご苦労さま」と声をかけ、通り過ぎると後ろから
「高橋さま、いってらっしゃいませ!」という声がした!
連休の初日、私は「カシータ」に午後6時半の予約を入れました。
約1時間前に建物の前に着いてテナント案内板を見ていると
「市川さま、こんにちは!」と呼び掛けられたのにはビックリ!
なぜ分ったのか聞くと、当社のHPで私の写真を見たとのこと。
3階のフロアでは色々なスタッフに名前を呼ばれ笑顔で挨拶され
席に着くと、ナプキンに私の名が刺繍してあります。皆お客に
気持ちよく過ごしてもらおうと強く心掛けていることが伝わります。
高橋さんは"伝説の工務店"を作るのは簡単なのではないか?
と言われました。この強いおもてなしの気持ちを全員が持ち
それを持続すれば、道は遠くても夢ではないかもしれません。
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