- 2013年10月11日 13:00
先日、浅田次郎氏の講演会を聞く機会がありました。
今ほど時代小説が出版されていた時代はないそうで
それは古い資料が豊富なこともあるが、現代を舞台
とした小説が書きにくくなっているからだといいます。
まずケータイの存在で恋人同士のすれ違いはあり得ない。
機器の進化も激しく、以前「ハンディホン」と小説に
書いたことがあるが、今これを分かる人は少ない一方
江戸時代のことはいつまでも変わらないから、とのこと。
さて参勤交代によって設けられた江戸屋敷は、明治に
なって紀州徳川家10万坪は迎賓館と東宮御所の敷地に
水戸徳川家10万坪は東京ドームを含む小石川後楽園に
井伊家の18万坪は明治天皇没後明治神宮に変りました。
さらに高遠藩内藤家の7万坪は新宿御苑に、尾張徳川家の
8万坪は市ヶ谷の自衛隊駐屯地になって、大名の江戸屋敷が
結果として明治以降の東京のインフラの基礎になった
というのはたいへん興味深い話でした。
また江戸時代の時刻の測り方は、日の出が明け六つ
日の入りが暮れ六つでその間を6等分したので
夏と冬では一刻(いっとき)の長さが違うことになる。
庶民にはもちろん時計がなかったので、時計があった
上野の寛永寺、芝の増上寺が刻の鐘を鳴らすとそれを
聞いた周囲のお寺が次々鐘を鳴らしていく。
ということは鐘を聞く場所によっても時刻は違ってくる・・・
今から考えると相当大ざっぱなようですが、その分
この時代は太陽と共に自然や生体のリズムに沿った
生活を人々が送っていたということになります。
私の高校の先輩に当るこの人気作家の時代小説を
実はまだ読んだことがないのですが、参勤交代を
題材にした「一路」あたりから読んでみたく思いました。
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