- 2012年9月 4日 08:20
先週末行われたロータリーの日韓親善会議に参加
しました。新高輪プリンスの「飛天の間」には竹島問題の
最中でしたが1000人の両国ロータリアンが集いました。
私のこの会議の関心事は、専ら元国連難民高等弁務官の
緒方貞子さんの講演でした。彼女は戦後のロータリーの
2人目の国際親善奨学生で、1951年に渡米しています。
船でサンフランシスコに着いたときが、ちょうど日米の
講和条約が締結された時期だったとのこと。そこから
2晩汽車に乗りワシントンまで行き、ジョージタウン大学で
国際関係論を学びました。留学中にアイゼンハワー大統領の
就任式があり、"木に登ってその式典を見た"そうです。
後年、上智大学の外国語学部長を退いた1991年に国連の
高等難民弁務官に就任、3期10年を務めました。
この間、小渕総理から外務大臣就任の要請があったが
「任期が残っているから」と断ったエピソードもあるようです。
緒方さんは「多様性」という言葉を何回も使いました。
「世界には多様な国々、多様な文化を持った人々がいる。
自分と違う、多様性をどうやって日本人は養ったらいいか?」
子供が日本語をきちんと習得する前に英語を教えることに
反対する人がいるが、と断りながら早期の英語教育を主張。
私達は物ごとを解決するとき「腹を割って話そう」というが
言葉が通じなければどうにもならない、と言われました。
多様性は日本人が一番苦手なところで、これだけ伝達手段が
発達したにもかかわらず、今日本は多様性より同一性の方向に
進んでいるように思える、と危惧していました。
緒方さんは、あと半月で85歳になるとはとても思えない
淀みのない明確な話し方で、一方あまり断定的な言い方を
しないのも特徴です。犬養毅首相のひ孫に当たるという
血筋は争えない、とその凛とした姿勢を見て感じ入りました。
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