- 2012年8月14日 17:03
ベートーヴェンの「第九」というと日本では年末の
年中行事という感がありますが、このお盆休み中に
サントリーホールでの「第九」を聴きに行ってきました。
初めて「第九」を生で聴いたのは私が高校1年だった
昭和44年(1969年)の年末で、オーケストラはNHK
交響楽団、指揮は当時37歳の岩城宏之でした。
今回はソプラノパートで出演されている方からのお誘いで
行ったのですが、実は私もだいぶ前にテノールのパートで
第九に出演したことがありました。
初めて聴いてから20年後の1989年に、私の母の弟が
市民合唱団に入っていて誘われて歌ったのが始まりで
そのあと3,4回歌っていると思います。この時は母も参加し
練習は3カ月、私はパート別のテープを購入して耳から覚えて
何とか本番に間に合わせました。
今回のコンサートはチャリティーで、演奏前に北朝鮮の
拉致被害者の会に寄付金が送られ演奏がスタート。指揮は
小林研一郎でオーケストラは日本フィル。前から4列目の
席から見る通称コバケンの後ろ姿は凛として美しいものでした。
第一楽章が怒涛のように始まったとき、今は入院している
音楽好きの母にリハビリを兼ねて第九を何度も聴かせたことを
思い出して不覚にも涙が溢れてきました。
そのあとも音楽に呼応して不思議に涙が流れます。
ベートーヴェンの音楽には人の心を揺さぶり、困難なことを
避けずに立ち向かおう、という気持ちを鼓舞するものがあり
色々考えているうちに高揚してグッと来てしまうのです。
第四楽章が始まり「歓喜の歌」のメロディを弦楽器が
ゆっくり奏でてから合唱が始まるまでの部分が特に良くて
自分が指揮をしているよう手に力が入り、隣の人に
悟られないよう足で拍子をずっと取り続けました。
私は第九を何度も聴いていますが、今回ほど感銘を受けた
ことはなく、音楽が人を動かす威力をあらためて感じました。