- 2012年5月19日 18:33
「日本でいちばん大切にしたい会社」という本にも紹介
されている長野県の伊那食品工業の見学会に参加しました。
1958年設立のこの会社は、現塚越会長が20代の時とき
関連会社から移籍してから50年余りで、売上170億円
社員400名、寒天生産ではトップ企業に育て上げました。
本社のある「かんてんぱぱガーデン」と呼ばれる松林に
囲まれた3万坪の広大な敷地には工場や研究棟をはじめ
3つのレストラン、ショップ、多目的ホール、美術館が
点在し、とても民間会社の敷地とは思えません。
このガーデンへ訪れる人は年間35万人、レストランは昼間
のみなので利益は出ません。それでも継続するのは
地域への貢献と会社のイメージアップのためだそうです。
「寒天は斜陽産業」と面談した丸山広報室長は言います。
地域貢献も利益があって初めてできること。そのため近年
研究棟を建て、社員の1割に当たる人材をここに投入して
自ら市場を作るべく新商品を開発しているとのこと。
敷地の清掃は毎朝自主的に社員の手で行われています。
この会社の社是は「いい会社をつくりましょう」。企業は
"会社を構成するすべての人々の幸せのためにある"のです。
塚越会長は「立派な社会人になりなさい」とも言っています。
それは最低限、人に迷惑を掛けないこと。例えばトイレには
次のような札が貼ってあります。「キレイに掃除してあるので
ズボンがつくまで前に出てはいかがですか・・・」トイレを
使うときも掃除する人に迷惑をかけないように行動します。
また社員が地元のマーケット等の駐車場に車を止めるとき
店の入り口から最も離れた所から止めるように言われています。
それがお年寄りや荷物の多い人への親切につながるからです。
会議室には2100年までの21世紀全体の100年カレンダーが
掛っていました。会長は新入社員に自分の「命日」を予測し
書き込ませるそうです。人生には限りがある、だから
一日を無駄に過ごしてはいけないことを教えるためです。
社員の楽しみは社内旅行。今旅行をしない会社が多い中で
この会社では40年前から隔年に海外旅行を実施している
(その間は国内旅行)ことを聞いて驚きました。
しかも行先は社員が企画した複数のコースの中から選んで
参加できるのです!これなら楽しくない訳がありません。
また旅行中も人に迷惑を掛けない行動に徹し、例えば
宴会終了後は、使った食器の片づけまで行うそうです。
会長は毎月全社員を集め方針を話します。文書でなく
繰り返し繰り返し話すこと以外に方針を徹底させる方法はない・・・。
本だけでは分からないことをたくさん学んだ一日でした。
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