- 2010年12月25日 13:49
今週、上野で講談を聞く機会がありました。
場所は松坂屋の向かいにある上野広小路亭です。
講談は江戸の三大話芸(落語・講談・浪曲)の一つといわれ
十年数年前にロータリークラブの例会で神田陽司という人の
講談を聞いたのが私の初めての体験でした。
講談というと扇子で台を「パパン、パン、パン」とたたく
パフォーマンスくらいしか知らなかったのですが、そのときの
赤穂四十七士の一人の大高源吾の逸話を描いた講談には
本当に引き込まれました。
宝井其角という俳人が、討ち入りの前夜にみすぼらしい身なりの
俳句の弟子でもある大高源吾に両国橋で偶然会い、別れ際に其角が
「年の瀬や水の流れと人の身は」と上の句を読むと源吾が
「あした待たるるその宝舟」と返すのです。これは源吾が貧しいので
どこかへ仕官でもしたいのだろうと其角が勘違いするところから
物語は吉良邸討ち入りに向かって進みます。
映像もBGMも舞台装置もない中で、講談師が語り始めると
あたかも自分がその場に居合わせるような臨場感に包まれるのです。
落語も同じですが、これは日本の誇る素晴らしい文化だと
そのとき初めて気がつきました。
今回見たのは知人が通っている講談教室の発表会で
先生の神田香織さんの挨拶で会が始まりました。出演者は13名で
知人はまだ始めて1年未満なのに、あまり上手なのにはビックリ。
またトリを勤めた人は江戸の儒学者、荻生徂徠が世に出る前の
極貧暮しのときに、豆腐屋の上総屋からかけられた情けを巡る人情話を
徂徠、豆腐屋夫婦、使いの者などの声色を巧みに使い分けて表現し
「この人はプロの講談師だ」と言っても誰も疑わないような見事な演じようで
私は非常に感銘を受けました。
最後は全員で端唄の「木遣りくずし」を歌って終了しましたが、実は
私はこの歌だけはちゃんと歌うことができるのです。何故ならもっぱら
洋楽好きな私が一時期、端唄を習っていたことがあったので・・・