- 2010年12月22日 17:55
先週の土曜日、建築家で不動産コンサルタントの
㈱ブルースタジオの大島芳彦さんを講師にお招きして
お客様セミナーを開催しました。
衣食住のうち例えば「食」では畑で取れた1本何円かの大根が
卸しから八百屋を経て料亭で料理として出されたときには
数百倍の値段になっている。それに比べて「住」の付加価値は
少なすぎるのでは、というところから話が始まりました。
日本の総世帯数は約5000万世帯で、住宅総数は5760万戸。
つまり760万戸は空き家でそのうち賃貸住宅は409万戸に上り
既に人口減少に転じている日本は、建物をどう維持して活用するかが
ポイントの時代になる、というのが大島さんの見解です。
建物を改修する方法には「リフォーム」と「リノベーション」があり
前者が元の機能に戻すための改修に対し、後者は用途や機能を変更して
性能を向上させたり価値を高めたりすることです。
ブルースタジオでは中古マンションの改修も数多く手がけており
家具のコレクターや自転車愛好家の住まいなど、各々の生活に応じた
フルオーダーリノベーションに対応しています。
一人住まいの典型である「ワンルームマンション」は
プライバシーが確立され、オートロックの装備はあっても
「隣に住む人が誰か分からない」という怖さが逆に生じていて
近年「シェアハウス」という形態が増えてきている背景には
このような単身者住居の反動がある、と大島氏は話されました。
シェアハウスは、他人同士がある部分共同生活をしてもそこには
「他人だから成し遂げられるモラル」が存在し、あまり個人の生活に
お互い踏み込むことはない、という指摘も納得させられます。
またブルースタジオは古い木造アパートの再生にも力を入れており
大田区大森町の案件は、昭和30年代に建てられた7棟のアパートを
「昭和」の雰囲気を残して再生し、新築と同等の家賃で貸しています。
入居者が価値観さえ共有していれば、プライバシーや音の問題も
気にならない・・・ここではピザ釜を自分たちで作ったり、正月に
餅つき大会をしたり。隣人の気配を感じながら生活することで心地よい
コミュニティが出来ている。一つの「住まいの理想」を見た気がしました。