- 2010年4月24日 18:22
当社では本日「『更新料』裁判の基礎知識と対策」という
テーマでお客様セミナーを開催し、神奈川宅建協会顧問の
立川正雄弁護士にご講演いただきました。
昨年、京都地裁、大阪高裁で更新料無効の判決が出たことは
ほとんどの大家さんにとってたいへん気になるところです。
今までは問題のなかった更新料の返還を求める訴訟の根拠は
平成13年に施行された消費者契約法にあります。
この第10条に「消費者の利益を一方的に害する条項の無効」が謳われ
契約の特約などで、消費者の責任を民法などの一般の法律に比べて
重くしている場合、これを無効とするいうものです。
更新料は民法や借地借家法に規定がないので、賃貸契約では特約で
その支払いを定めていますが、それがこの条項に当って
消費者の利益を「一方的に害している」かどうかが争点になります。
もともと消費者契約法は、例えばエステやリフォーム等で
言葉巧みに無知な消費者を誘って高額の契約を結ばせる商法など
「プロの事業者がアマチュアの消費者を食い物にする」ことを
防止するため制定された法律とのことです。
情報や交渉力に圧倒的に優位な事業者と、知識等が少ない消費者が
対等に契約をすると、事業者がその優位な立場を利用して、消費者に
不利な契約を押し付ける危険がそのある、という前提に立っています。
また第2条に「消費者」とは個人(事業として契約するものは除く)であり
「事業者」とは法人、団体及び事業をしている個人という定義があって
借主が会社の場合や、個人が店舗や事務所を借りる場合は適用されません。
「個人の事業者」の定義はあいまいで、自宅を貸す程度なら
事業者ではないが、何室か賃貸物件があるとそう見なされるようです。
これでは何もかも入居者有利の世の中になってしまう感がありますが
今日の講演を聞いて、必ずしもそうではないことが分かりました。
その理由の第一はまだ最高裁の判決が出ていない、ということ。
そして更新料無効の判決の事例はほとんどが関西で、更新料を2年で
実質4ヶ月以上取っているなどこの辺ではまず無いようなケースばかりです。
実際に立川先生の事務所で担当した裁判では勝訴しているし
中原区内に多い「1ヶ月の更新料」というのはまず大丈夫だろう
というのが今日の結論でした。
(社長)