スタッフブログ
人生の充実
- 2010年11月 1日 10:38
- M.N氏の岡目八目
3年前、東京・六本木にオープンした複合商業施設「東京ミッドタウン」。
その敷地の一角に、ガラス張りの独創的な形が美しい
デザイン・ミュージアム「21-21デザインサイト」がある。
服装デザイナーの三宅一生さんが建設を提案し、
建築家の安藤忠雄さんが設計した建物だ。
その二人がそろって文化勲章を受賞された。
これも何かの縁だろう。
日本の着物のように体を包む「一枚の布」をコンセプトに、
西洋と東洋を融合した衣服を創造した三宅さん。
一方の安藤さんは、シャープなコンクリート打ち放しの外観や光などの
自然環境を大胆に取り入れた設計で世界の建築界をリードしてきた。
歩みは必ずしも順風漫帆ではなかった。たとえば、
高校卒業後に独学で建築の道に進んだ安藤さん。
思うようにいかないことばかりで、大抵は失敗に終わったという。
(自伝「建築家安藤忠雄」新潮社」
そして、こんな幸福感を導き出す。
<人間にとって本当の幸せは、光の下にいることではないと思う。
その光を遠く見据えて、それに向かって懸命に走っている。
無我夢中の時間の中にこそ、人生の充実があると思う>
三宅さんと安藤さん。二人が遠くに見据えてきた<光>は、
もちろん文化勲章などではないだろう。
無我夢中のクリエーテイブな挑戦が、
これからまだまだ続いていくことだろう。
(M.N)
チリの落盤事故
- 2010年10月31日 12:09
- M.N氏の岡目八目
チリの落盤事故で、33人の作業員全員が生還して10日余。
世紀の救出劇を全世界が生中継で伝えたが、チリ本国はともかく、
わが国などでは、報道ぶりもようやく落ち着きを取り戻してきた。
時間の経過とともに、69日間に及ぶ坑内での
人間模様なども漏れ聞こえてくるようになった。
中には作業員や家族たちにとって、
あまり触れてほしくないものもあるようだ。
地下700メートルの過酷な環境で生き抜いた作業員たちである。
何があったとしても不思議ではない。
心理学者や精神科医らが彼らの心理と行動を分析するのは
必要であるにしても、部外者が興味本位に見ることだけは控えたい。
気になるのは作業員たちのこれからの人生設計だ。
事故前の貧しくともつつましやかな暮らしに戻ることはもうできまい。
海外への招待旅行、多額の謝礼を伴う講演や執筆依頼など。
映画化もされるそうだ。望むと望まないにかかわず、
彼らは英雄になってしまった。
能力ある者には最高のチャンスであっても、全員がそうとは限らない。
同じ鉱山で働く同僚たちからは「おれも閉じ込められたかった」
との声も聞かれる。救出された作業員の間にも、
やがて嫉妬や不平不満が出てくるかもしれない。
南半球のチリではこれから夏に向かう。
その夏が過ぎるころ、作業員たちの生活はどう変わっているのだろうか。
それぞれの新しい人生が穏やかで幸せなものであることを祈りたい。
(M.N)
運鈍根
- 2010年10月20日 16:19
- M.N氏の岡目八目
ビジネスの世界では「運鈍根(うんどんこん)」が大切だとよくいわれる。
幸運も成功の重要な要素だが才気走ってあれこれ目移りしないこと、
根気よく継続することも必要という意味だ。
科学の世界でも似た言い方をするそうだ。
ノーベル化学賞を受賞した北海道大学名誉教授の鈴木章さんが
テレビのインタビューに答え「セレンディピティ」という言葉を使われていた。
偶然に幸運な予想外の発見をする能力のことだ。
偶然ではあるが、単なる「棚からぼたもち」ではない。
普段から徹底して考え抜いていることが前提。
歴代受賞者の発見の逸話からも、決して狙い通りだったのではなく、
目の前で何が起こっているか虚心坦懐(たんかい)に洞察した結果、
成功につながったことがうかがえる。
鈴木名誉教授は「重箱の隅をほじくるような研究ではなく、
新しい誰もやっていないような研究をしろ」
と学生たちに言っていられるそうだ。
恐らく自身の研究姿勢でもあるのだろう。
ほとんどの人が役に立たないと考えた物質に
目を付けて実験を重ね、ついに鈴木カップリングという
有機化合物の合成法を発見。それが思いがけず
工業製品に広く応用されていった。
鈴木名誉教授は「非常にラッキーだった」と振り返る。
今回化学賞を受賞されたもう一人の日本人で
米パデュー大学特別教授の根岸英一さんは「究極の楽天家」
と自己分析れている。
あきらめず幸運を待ち受ける心性こそ大事ということか。
実際には幸運の種が眼前に現れても
やり過ごしてしまうことがどれだけあるだろう。
(M.N)
高齢ドライバー標識
- 2010年10月18日 20:02
- M.N氏の岡目八目
「枯れ葉のようでお年寄りに失礼だ」などと不評だった
高齢ドライバー標識の「もみじマーク」。
それが幸せの象徴である四つ葉のクローバーのデザインに
一新されるようだ。
色も従来の黄色と茶色の2色に黄緑と緑の2色が加わり、
4色になる。もみじマークに比べると、随分明るくなり
これなら「お年寄りに失礼だ」といった批判も出ないだろう。
70歳以上のお年寄りを対象に、年内にも使用が始まる見通しだが、
現在のもみじマークも当分使えるようにするという。
車に四つ葉のクローバーを張る高齢ドライバーが増えれば、
事故の減少にも少しは期待が持てそうだ。
全国で交通事故死者は減っているのに、
70歳以上の死者は減らない。
昨年は高齢者の死者が全体の4割を超えた。
ドライバーの高齢化が、それだけ進んでいるのだろう。
普通自動車免許を持つ70歳以上の高齢者は全国に約620万人。
過去5年間で180万人増えているそうだ。
四つ葉のクローバーを車に張るだけでなく、
歩行者も夜間に反射材を身に着けるなどの対策が必要なようだ。
いくらもみじマークが四つ葉のクローバーに変わっても、
事故が減らなければ「幸せ」は訪れない。
(M.N)
クールビズからウォームビズ
- 2010年10月18日 14:02
- M.N氏の岡目八目
4ヶ月ぶりだった。今月10日、
久しぶりに手に取り、身に着けてみた。
ちょっと首元が苦しいけれど、逆に身が引き締まる思いがする。
新入社員のような新鮮な気持ちもしてくるから不思議だった。
ネクタイである。
「クールビズ」のおかげで、ごぶさたしていた。
夏の軽装は今年が初めてではなかったが、
記録的な猛暑だっただけに、
今夏ほどネクタイなしのありがたみを感じた年はない。
冷房を使う時間は抑えることができたし、何処のオフィスでも
おそらく仕事の能率も上がっていたのだと思う。
環境省の提供で始まった「クールビズ」は今年で6年目。
室温の高いオフィスでも快適に過ごせる
ファッションとして広まった。自治体や会社でも導入例が増え、
いまや男性の夏場のノーネクタイ、ノー上着は当たり前。
すっかり定着したように思える。
だが、単に服装だけでなく、こうした環境を考えた行動を、
家庭を含む生活すべてに広げるのが本旨なのだと思う。
環境省のホームページでは、その一つとして、
窓辺を草花で覆って室温を下げる「緑のカーテン」の例が
紹介されている。川崎市長室の窓辺にもゴーヤでの
緑のカーテンが見えた。
月日は進み、今度は「ウォームビズ」の季節がやってくる。
重ね着などで冬の暖房を抑える狙いだ。
今冬はいつも以上に、家屋の暖気運転を減らしたり、
日中は部屋に日光を取り入れるといった、
身の回りの無駄を廃する心掛けをしたい。
ノーネクタイと同様に心地よい生活が待っているかもしれない。
(M.N)
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