スタッフブログ
金星探査機「あかつき」
- 2010年12月 9日 16:21
小惑星探査機「はやぶさ」の成功で日本中が沸いた2010年。
その年を締めくくるはずだった。
金星探査機「あかつき」が軌道投入に失敗した。残念だ。
明けの空や夕空にひときわ明るく輝く金星は、
地球の「兄弟惑星」ともいわれる。
直径がほぼ等しく、太陽からの距離も近いからだ。
しかし、その違いはあまりにも大きい。
西洋ではビーナス(美の女神)と呼ばれるが、
厚い雲の下は硫酸の雨と秒速100メートルの風が吹き荒れる。
二酸化炭素による温室効果の"暴走"で、
気温が400度超に達する灼熱(しゃくねつ)地獄という。
あかつきは、研究者が解けなかった
金星の特有の気象解明に挑むはずだった。
隣り合う兄弟星の運命を、何が大きく分けたのか。
金星の謎解きを通して、地球温暖化や異常気象のメカニズム研究と
予測への可能性も期待されていた。
だが、これで望みが絶たれたわけではないという。
あかつきは6年後、再び金星に近づく。
プロジェクトチームはもう一度、軌道投入にチャレンジする意欲を示した。
あかつきの機体には、日本中から応募のあった
約26万人の応援メッセージを縮小印刷したアルミ製プレートが
取り付けられている。これから6年間、
日本中のエールを身にまとい、宇宙を旅するわけだ。
地球からも、応援を送り続けたい。
(M.N)
テーブルマナー
- 2010年12月 6日 19:18
- M.N氏の岡目八目
ライスはフォークの背に乗せて食べる。
テーブルマナー教室でそう教わった人は多いはずだ。
ところが最近は、フォークの腹の部分ですくうようにしてもよいとされる。
マナーが変わったのかと首をかしげる人もいるだろう。
テーブルマナーが日本に持ち込まれたのは明治時代だ。
英国を手本にしたらしい。しかし、フランス式では
フォークを右手に持ち換え、腹の部分を使っても構わないそうだ。
それで近年は英国式へのこだわりが薄れた。
そもそも、洋食でライスは野菜のような位置付け。
米を主食とする日本とは食文化が異なる。
それを洋式に当てはめようとしたのが今日の戸惑いの誘因だから、
マナーの混乱は文明開化の時代の名残とも言えなくもない。
ナイフやフォークで食事をするのは世界の約3割で、
箸を使うのもほぼ同じ割合のようだ。
残る4割は手で食べる。ヒンズー教やイスラム教では
汚れた食具を使うのはタブー。
清浄な手で食べることこそ宗教的な戒律にかなう。
日本でも昔は手で食べたという。三世紀の風俗などを伝える
魏(ぎ)志(し)倭(わ)人(じん)伝(でん)に、
手づかみで食事をしていたと記されているそうだ。
箸が中国から伝わったのは七世紀。
八世紀には一般に普及する。
その後、箸文化は特異な発展を遂げる。
江戸時代、家族がそれぞれ自分の箸を持つようになった。
中国や台湾、韓国などでも箸を使うが、そうした習慣はない。
最近は、箸を洋食器のように家族共用とする家庭も増えたようだ。
ここにも欧米化の一端がのぞく。
(M.N)
「知識」と「意識」の調整
- 2010年12月 4日 17:48
- M.N氏の岡目八目
地域づくりは一人ではできない。
発想力、折衝力、調整力、行動力、継続力等
あらゆる力、多くの知恵が必要である。
難しそうに感じるが、意外にそうでもない。
見据えるものをしっかり語り、いかに一人ひとりの心に響かせ、
互いに尊重していくかである。
事業計画を進めていく時、会議を開き計画・工程説明を行い、
情報を統一化しつつ執行事務局案に基づき
賛同を得ていくやり方をよくとる。この方法は
毎年決まっている行事とか施策を確実に実施していくには
適切なスタイルである。しかし、資料と枠組みの確認に
時間をとることで事業が順調に進んでいると錯覚を起こし、
参加者の思いが入らぬまま進んでしまうことがある。
いわゆる"お題目的な参加型”である。加えて、
さまざまな団体の長が集う形をとった場合、あたかも
地域全体で行っているようなさらなる錯覚をおこしてしまう。
計画には「問題解決型」と「夢実現型」と2つある。
取り組む事業がどちらの進め方がふさわしいのか、
どちらに軸足をおくか、ぶれないことである。
地域づくりは期間だけでは推し量れない永遠のものである。
思いの違う窮屈なものは続かない。初めから
賛同者をたくさん得ることは難しい。まずは方向性。
一人ふたりと思いを語れる仲間を増やしていくことがある。
そして、「すぐできること」から始めていく。
コンセンサスをとるには全く事業と関係ないことをしてみることは
大切である。事業計画書や工程はあとからでもいい。
あるいは事務局だけの指針でいい。ある程度意識の
共有ができてくれば、「工夫してみる」ことをしていき、
徐々に「仕組みをつくる」ことへ入れば地域にふさわしい
事業が実現する。
参加型は「知識」と「意識」の調整である。
団地内の管理調整などが大変な時期である。
(M.N)
大相撲九州場所
- 2010年11月29日 14:50
- M.N氏の岡目八目
今年の納めとなる大相撲九州場所は、
横綱白鵬が優勝決定戦を制し、5場所連続17度目の優勝
で締めくくった。「波瀾(はらん)万丈」という言葉が
ふさわしい場所であった。
今場所、最大の関心は何といっても
白鵬が双葉山の69連勝を追い越せるかどうかだった。
先場所までの安定感からして
「歴史的な瞬間が見られるのでは」と思わせた。
ところが、落とし穴は2日目に早くも待ち構えていた。
平幕稀勢の里の攻めの前になすすべなく土俵を割り、
歴代2位の63連勝で終わった。「こんなものでは」という言葉に、
白鵬の複雑な心境と双葉山の偉大さが重なった。
大きな見せ場が消え、つまらない場所になるかと心配したが、
新たな話題が次々に生まれ盛り上げた。
稀勢の里はもちろん、地元出身の人気大関魁皇の快進撃、
そして平幕豊ノ島の優勝決定戦。
日本人力士が久しぶりに存在感を示した。
角界全体も波乱万丈の年だった。
野球賭博事件に揺れ開催が危ぶまれた名古屋場所では、
天皇賜杯やNHKの生中継もない異例の事態に。
そんな中で、光を放ってきたのが白鵬の連勝記録だった。
来る新たな年、各力士には心機一転で大相撲の魅力を
存分に見せてもらいたい。角界の改革へ、
日本相撲協会が不退転の決意で臨み、
私たち相撲ファンを魅了させてほしい。
(M.N)
神田神保町
- 2010年11月22日 14:35
- M.N氏の岡目八目
東京の神田神保町は、180近い店が集まる
世界一の古本屋の街だ。
辺りを歩くと、浮世絵や漫画の専門店などの個性的な店が見つかり、
飽きることがない。
四季折々に催しが開かれる。
秋の「神田古本まつり」はとりわけ有名だ。
歩道にワゴンが並び、本好きやコレクターでにぎわう。
今年は天気に恵まれなかったが、それでも雨の切れ間には
人波が絶えなかった。
八木沢里志さんの小説「森崎書店の日々」(小学館文庫)は
神保町が舞台だ。今秋、映画にもなった。
恋に破れたヒロインの貴子は、叔父が営む古書店に住み込むようになる。
読書の楽しみなど知らなかったが、
神保町の人々や本と接するうちに癒されていく。
ある本には押し花のしおりが挟まれいる。
梶井基次郎の小説「ある心の風景」を読むと、ぺんで線を引いた箇所があった。
前の持ち主が感銘を受けたのだろう。
どんな思いで読まれたのか想像してみた。
そんな場面が古書の楽しみ方を象徴する。
神田古書店連盟がつくった案内書にはいろんな店を紹介している。
司馬遼太郎さんは生前、執筆のため軽トラックいっぱいの古書を
購入されたそうだが、まだまだ「お宝」はひしめく。
広重の浮世絵もあれば、フランスで200年以上前に出た
「百科全書」にも出合える。
楽しみは古書に限らない。一休みできる喫茶店やカレー店も多い。
読書の秋だ。歩くうちに、いつしか時を忘れさせる、そんな街である。
(M.N)
- Search
- Links