スタッフブログ
祈りすがりたい
- 2011年3月19日 16:56
- M.N氏の岡目八目
祈るような気持ちで陸上自衛隊ヘリコプターによる
水投下に見入った。ぶっつけ本番の作戦だそうだ。
福島第1原発の上空に4回飛来し、大量の水を一気に投下された。
風にあおられて水が飛散しているようにも見えた。
原子炉建屋の上空にとどまって的中させるのがいいのだろうが、
乗員の被ばくを考え、通過しながらの投下となった。
続いて警察の高圧放水車や自衛隊の消防車による陸上放水も
始まった。空と陸からの両面作戦に臨んだ隊員たちは、
防護服に身を包み決死の作業が続けられた。
原子炉本体より使用済み燃料プールのほうが厄介なようだ。
使い終わっても熱を出し続ける燃料は、水を循環させて冷やしている。
電源を失って冷やせなくなった。そのまま加熱し
溶けだすことになれば、高濃度の放射性物質が飛び散る。
限界が迫り、前例のない水投下に踏み切ったとのだ。
使用済み燃料の取り扱いがこれほど難しいとは知らされてこなかった。
貯蔵プールの備えは、圧力容器や格納容器で守られている原子炉ほど
厳重ではない。六ヶ所村の施設についても確かな情報が必要だ。
安全神話が崩れた今、原発を含めたリスクをタブー視せずに
検証しなくてはならない。
使用済み燃料は猛毒のプルトニウムを含む。
冥王星プルートにちなむその名前は、神話世界に住む冥王
つまり地獄の王に由来するとのこと。何と皮肉な名をもらった
元素だろう。暗闇の冥王は一体何に怒っているのだろうか。
怒りと暴走を鎮めようと奮闘されている自衛隊、警察の
力にすがりたい。
(M.N)
津波の脅威
- 2011年3月14日 07:54
- M.N氏の岡目八目
突然、東北地方から関東地方を襲った東北地方太平洋沖地震。
地震の規模を示すマグニチュードは8・8。
観測史上最大の巨大地震となった。時々刻々と流される
テレビの被害情報にくぎ付けになった。
津波が大地を飲み込んでいく上空からの映像に身震いが起きた。
戦慄(せんりつ)が走ったのは大津波の恐怖を伝える
テレビ中継映像に「あーっ、危ない!」「逃げろ!」。
思わず叫んだ。仙台市郊外の海岸近く。車は知らずにいるのか。
壁のような津波が沖合いで仁王立ちになり、川を逆流し、
住宅や車を容赦なくのみ込んでいく。
あらためて思い知る津波の破壊力だ。
湾内では漁船やフェリーが津波に翻弄(ほんろう)され、
岸壁に衝突する。仙台市を南北に流れる名取川河口付近では、
海から押し寄せた茶色の巨大な津波が川を逆流。堤防から
あふれ出た濁流で、地上のすべての物が流される。
火災した住宅や車を巻き込みながら、津波は衰えをみせずに
広がり続ける。濁流から逃れようと右往左往する車。
車を道路に放置して逃げ惑うドライバー。
届かないとは分かっていながら、「早く」と
呼ばずにはいられなかった。
津波の脅威は何度も聞かされてきた。昔の記録にもある。
しかし、どこかで高をくくっていた部分があった。
あの脅威を目のあたりにして、一刻も早い非難の重要性を
思い知った。
被害の全貌を一刻も早く把握し、救助・救援に
全力を挙げなければならない。国の危機管理能力だけでなく
、何よりもまず、国民一人ひとりが救援に向けて、
できることをできる範囲で協力することが必要だ。
(M.N)
苦役列車から
- 2011年3月 8日 13:31
- M.N氏の岡目八目
今年1月、芥川賞に決まった西村賢太さんの「苦役列車」が、
純文学作品としては異例のベストセラーになっている。
中学卒業後、日雇い労働をしながら自身の体験を基にした
私小説を書いてきた43歳の西村さん。「苦役列車」もまた、
日雇い仕事で食いつなぐ19歳の貫多を主人公にした私小説である。
恋人も友人もなく、家賃もろくに払えない。そんな貫多の
駄目さかげんをこれでもかこれでもかと切なく、ユーモラスに
描いている。不況、就職難、貧困、格差社会・・・。
若者を取り巻く息苦しい時代状況が、「苦役列車」を
ベストセラーに押し上げたのだろう。
「文芸春秋」3月号で、西村さんはこう語っている。
「現実問題として、僕は女性と結婚して幸せに
なったりとかできませんから。その資格もありませんし。
残された道は、逃げずに私小説を書いていくことしかない」
一方、混迷を深める政治の世界。新年度予算案は衆院を
通過したものの、予算関連法案成立のめどは立っていない。
民主党では衆院16人が予算案採決で造反、1人が離党届を提出した。
まさに現政権は、"苦役列車”に乗っているようなものである。
違うのは、西村さんには作家としての覚悟があることだ。
駄目男を描きながら、行間におのずとにじみ出る潔さが、
読者の共感を呼ぶのだろう。
(M.N)
人道危機回避を願う
- 2011年3月 7日 10:06
- M.N氏の岡目八目
「あなたに王座を与えたのは、私にココナツの殻をくれたのと同じ人」。
アフリカのことわざだ。すべて神のおぼしめし。
支配者が人より偉いとか優れていることはないことを表す。
多くのアラブ諸国で、民衆は強大な権力に無理やり抑え込まれてきた。
独裁者は沈黙を強いることはできても、心までは支配できない。
長年の矛盾がついに噴き出したと言えようか。
チュニジアの「ジャスミン革命」に始まり、エジプトの独裁政権も倒した
反体制デモは周辺各国に拡大。徹底した強権体制を敷き、
揺らぐことがないと思われたリビアのカダフィ政権が、
存続の岐路に立っているようだ。
軍が中立を守ったチュニジアやエジプトと異なり、武力鎮圧を強行。
デモ弾圧の犠牲者の葬儀で参列者にまで実弾が浴びせた。
外国人の雇い兵を動員した容赦ない姿勢に、国民の反感が強まる。
軍の内部や政権内からの離反が広がっている。
それでもカダフィ大佐は「反逆者は粛清する」と、デモ隊を
徹底弾圧する姿勢を示している。国際社会の人道危機回避を求める声に
耳を貸す気配はない。
アフリカにはこんなことわざもある。
「クモも巣を張り巡らせれば、ライオンでも捕まえられる」。
独裁者への恐怖を乗り越えた民衆を止めるすべはないように見える。
犠牲者が際限なく増えないかが心配だ。
(M.N)
自立することの大切さ
- 2011年3月 3日 18:43
- M.N氏の岡目八目
日本マラソン界に新鮮なスターが誕生した。
先日の東京マラソン。2時間8分37秒の好記録で
日本選手最高の3位に入った川内優輝選手だ。
今夏、韓国で開かれる世界選手権の代表にも内定した。
全国的には無名の存在。学習院大学時代、箱根駅伝には、
出場できないチームの選手を集めた学連選抜の一員として
2度出場したが、目立った活躍はしていない。
おととし学習院を出て埼玉県職員になり現在は、
埼玉県春日部東高校定時制の事務員。
勤務は昼すぎから午後9時ごろまでフルタイムで働いて
いられる。勤めに出る前に2時間ほど近所の公園を走る。
月間走行距離は約600キロ。全日本級の選手は
千キロ前後を走るというからその6割程度である。
その代わり練習メニューは自分で考え、
体調と相談しながら決めるそうだ。
42・195キロを走るマラソンは苦痛である。
心臓はあえぎ、筋肉は痛めつけられる。それでも走るのは、
自らが選んだ事情。自分との約束である。
苦痛は避けられないけれども、約束を果たすかあきらめるかは、
自分が選択できる。それが常にコーチの指導下にあり、
組織の一員として「仕事」で走り込みを続ける実業団選手との
決定的な違いである。
川内選手は、その辺の事情を「遠征費も自分持ち。本当に
好きでないとやっていけない」といわれる。
無名の23歳は自ら挑戦し、自分との約束を果たしたことで、
自発的に行動することの大切さを教えてくれた。
世界選手権には有給休暇か、就業規則にある
職務専念義務免除を利用して参加されるそうだ。
(M.N)
- Search
- Links