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スタッフブログ

「なぜ」「どうして」

「なぜ」「どうしてうちの子が」・・・。
悲痛な叫びが、どれだけ飛び交わったことだろう。
栃木県の国道で、集団登校していた小学生の列に
クレーン車が突っ込み、4年生から6年生までの児童
6人が命を奪われた。

みんな元気で明るい子だったという。
クラスのムードメーカーだったサッカー少年、
二人暮らしの母親のために、毎日家事を手伝っていた女の子、
野球が得意で事故の朝も母親とキャッチボールをした男の子・・・。

「行ってきます」と元気に家を出た子が、「ただいま」
も言わずに帰宅する。誰がそんな場面を想像しただろう。
孫のなきがらを抱いて病院から連れ帰った祖母は、
「まだぬくもりが残っていた」と無念そうに話していられた。
遺族の気持ちを思うと胸が詰まる。

事故現場にはランドセルが散乱していた。
地獄のような光景は、東日本大震災ばかりではない。
穏やかな日常の中にも残酷な不条理が潜(ひそ)んで
いることに、あらためて気づかされる。

検査関係者によると、現行犯逮捕された26歳の運転手は
「居眠りしてしまった」と供述したそうだ。
一瞬の気の緩みが、6人の子どもの未来を乱暴に
もぎ取ったわけである。

東日本大地震は天災だが、この事故は人災だ。
人災なら妨げるはずだ。ハンドルを握る人は、
いま一度、自分の凶器に乗っているという自覚も
持っていただきたい。「なぜ」「どうして」の叫びは
孫を持つ一人として、二度と聞きたくない。


(M.N)

リーダーの心構え

法隆寺金堂の再建などを手掛け、「日本最後の棟梁」と
呼ばれた宮大工、西岡常一さん(故人)が
棟梁の心構えを次のように説いていられる。

「木は土地や風向き、日当たりによって癖がある。
木の癖を見抜いてそれを適材適所に使うことやね」
(『木のいのち木のこころ』草思社)。
木は「人」に置き換えることもできる。

法隆寺の再建に集まった若い工人らは個性派ばかり。
西岡さんは工人らの癖を見抜き、心を一つにして
難事業を成し遂げる。「木を組むには人の心を組め」。
名棟梁が残した言葉は人を束ねるリーダーへの遺言でもある。

リーダーといえば、東日本大震災後の日本再建を担う
「棟梁」、首相の手腕は心もとなく見える。
福島第1原発事故の対応は後手後手、場当たり的に映る
避難対策には被害者の不信感が募る。

死者・行方不明者2万7627人。避難者13万6438人
(4月19日午前10時現在、警察庁まとめ)は避難所
生活を送り、明日さえ見えない日々を過ごされている。
リーダーは今こそ、日本再建に向けて青写真を示し、
みんなの心を一つに束ねる言葉を語ってほしい。

「百論を一つに止める器量なき者は慎み惧(おそ)れて
匠長(棟梁)の座を去れ」。難事業を率いた西岡さんは、
こう自身に言い聞かせて奮いたたせた。
日本再建という空前絶後の難事業に挑む「棟梁」も
胸に刻む言葉である。

(MN)

 

新入生

肩幅より大きいランドセルを背負った小学生や
ダブダブの制服を着た中高生。
初々しい1年生の姿が目につく。新入生たちは、
新たな環境にようやくなじみ始めたことだろう。

今春、小学1年生になった子どもたちの『就きたい職業』は、
男の子は「スポーツ選手」「警察官」「運転手士」、
女の子は「パン・ケーキ・お菓子屋」「花屋」「芸能人・タレント」
がトップ3。人工皮革を製造・販売する会社のアンケート結果だ。

男の子は「ユニホームを着る仕事にあこがれ、女の子は
仕事にも「華やかさ」を求めているようだ。
子どもたちの素直な気持ちが感じ取れる。

一方、親に聞いた『就かせたい職業』は、男の子が「公務員」
「スポーツ選手」「医師」、女の子は「看護師」「薬剤師」
「公務員」が上位を占める。景気低迷を背景に、安定した職業を望む
親心がのぞく。親子の違いが興味深い。

東日本大震災の混乱が続く中でスタートした新年度も半月が過ぎた。
被害に遭い、将来の夢を描けない1年生もいるに違いない。
日本中の子どもたちが『夢』をあきらめることがないよう、
迅速な復旧・復興に向けて大人たちは英知を結集する必要がある。

プロ野球が開幕し、中断しているJリーグも23日に再開する。
プロらしい豪快、華麗なプレーで「スポーツ選手」にあこがれる
子どもたちに夢と元気を届け続けてほしい。

(M.N)

愛犬

悪天候で15匹の犬を置き去りにせざるを得なかった現場に
1年ぶりに戻った。前方に2匹の影。人を見ても近づこうとしない。
置き去りを恨んでいるのか。そうも思ったが、覚えている犬の名前を
片っ端から呼んでみた。

「タロか」の声に、1匹のしっぽがわずかに動いた。
もう一度呼ぶと今度はしっぽを大きく振った。他の1匹はジロと分かる。
1959(昭和34)年1月、日本の南極観測隊が到着した昭和基地であった
カラフト犬、タロとジロの奇跡の生存劇だ。

以上のことは元隊員、北村泰一・九州大学名誉教授の回想だ。
極寒の地でそりを引くカラフト犬は観測隊には欠かせない存在で、
死んだ犬は丁重に水葬された。北村さんは力を込める。
「15匹は単なる犬ではない。南極を生き抜いた戦友だと」。

戦友、この言葉は東日本大震災のペットにも当てはまらないか。
岩手県宮古市の83歳の女性は、津波から逃れる途中、愛犬ハチとはぐれる。
深い喪失感。しかしハチの無事を知ると気分は違った。
「津波で財産が裸になっても、ハチがいてくれれば力が湧いてくる」と。

(M.N)

浦安の前代未聞

県議選の選挙事務を拒否する浦安市と総務省の対立は、
未曾有の東日本大震災で、行政手法の違いが
抜き差しならなくなったと言えなくはない。

市内の4分の3は埋め立て地。大地震であちらこちらから
泥水が噴き出し地面は波打った。液状化現象である。
公共施設の多くが被災し、職員もライフラインの復旧にかかりきりだ。
とても選挙は無理だと浦安市は延期を求めてきた。

統一地方選延期の特例法を作るまでは国も地方も、
選挙どころではないという判断で一致していた。
その適用範囲を、総務省が物理的に影響のある
三県二十市町村に限定して、両者は袂を分かつことになる。

総務省は「多少困難があっても、しなければ法律(公職選挙法)違反
になる」という批判はその通りでも、特例法を制定しなければ
ならない環境のもとではどうか。施設や学校の被災状況を調査し、
千葉県選管の見解、判断を参考に選挙延期の「指定の必要なし」
と総務省。「自分たちの代表を選ぶ民主主義の重要なプロセス。
市はしっかり自覚していただきたい」との判断。

市内の小中学校は同じころに入学式を開く。
「安全に投票できる場所はあるはずだ」。県選管はあくまで
予定通り実施をとの立場だ。互いに歩み寄りの気配はなく、
このままでは当選者を決められない前代未聞の事態となる。

仮に投票所施設が万全で、県や総務省の応援で選挙事務などの
「物理的」な体制は確保できたとしても、有権者の大半が
市を離れていては誰のための民主主義かという根幹が問われると思う。

(M.N)


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