スタッフブログ
和風クールビズ
- 2011年6月 4日 13:47
- M.N氏の岡目八目
衣替えの月と共に、通勤や通学も白を基調にした装いが目立ち、
軽やかで涼やかな夏服が街路樹などの緑色にまぶしく映る季節。
これから夏の色が濃くなっていく。今年は「クールビズ」を上回る
軽装「スーパークールビズ」も仲間入りだ。
"初夏の風物詩"の光景は例年以上に広がりそうだ。
ピンクや黄、青などの色とりどりの幾何学模様やハイピカスの花柄。
ポケットまで付いている。これが、あの「ステテコ」とは思わなかった。
近づく「父の日」プレゼントの人気商品となっているという。
地肌が透けて見える白地の昔風とはまるで別物。ちりめん仕立ての
新作は男女兼用で、外出もOKというのが売り物だ。
ステテコといえば、もともと肌着だった。ただ、家の周りくらいなら
そのまま出歩けた。近所のおじさんたちが縁台を持ち出し、道端へ。
うちわ片手の世間話に花を咲かせる。そんな夏の夕暮れを
思い起こす世代ともいえよう。
エアコンを切って窓を開け、打ち水や扇風機で涼をとる。
昭和の風情を見直すことは、ステテコ復権とも一脈通じていそうな
気がする。節電対策も熱が入っている。各企業では、平日の
電力使用量を抑えるため、いろいろな工夫がなされているようだ。
高めの室温に耐えるには衣とともに気分を入れ替え、
やがて迎える長い梅雨の時季も乗り切りたいものだ。
(M.N)
浮世絵版画
- 2011年5月29日 16:29
- M.N氏の岡目八目
歴史上の名画や彫刻、工芸品の中には損傷や破損のほか、
歳月を経て劣化し、当初の状態から大きく変わってしまった
ものが多い。それでも、どんな発色、彩色だったのだろうかと
想像してみると楽しい。
千葉市美術館で開催中の「ボストン美術館浮世絵名品展」は、
保存状態の良い作品を堪能できるのが魅力だ。
鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽の三大絵師を中心とした展示が、
鮮明な色彩美を伝えている。
植物性の塗料が多く使われていたため、色あせ、変色しやすい
当時の浮世絵版画だ。光や湿度の影響で、本来の色を残している作品は
ほとんどないという。特に紫色は変わりやすく、茶色っぽく
退色してしまうそうだ。
会場には、着物の模様も美しく鮮やかに、約200年以上前に
摺(す)られたとは思えない色合いの作品群が並んでいる。
明治期にアメリカに渡って封印されたことが、保存上幸いしたようだ。
清長、歌麿、写楽らが活躍した天明・寛政期(1781~1801年)は、
政権の安定と経済発展により町人文化が繁栄した時代。
気品をたたえた美人群像や迫力ある役者絵に囲まれ、江戸の活気と
華やいだ空間に誘われる。
描かれた季節感も豊かだ。団扇(うちわ)や扇子を手にした女たち、
川端での夕涼み、舟遊び・・・。
社会と経済が行き詰まり、市民生活の見直しさえ迫られた現代社会。
江戸風俗のしなやかさが輝かしいほどである。
(M.N)
端正
- 2011年5月23日 18:58
- M.N氏の岡目八目
端正という言葉が似合う人は最近ではめったにお目にかからぬが、
俳優やクイズ番組の司会者として親しまれた児玉清さんは、
その数少ない一人だった。
ぴんと伸びた背筋と同様、簡潔で歯切れのいい口調は
どこか潔さを感じさせた。NHK大河ドラマ「龍馬伝」では
坂本竜馬の父親役を演じられたが、端然として存在感があった。
映画やテレビで名を上げる一方、早くから大の読書家
としても聞こえた。
それも学生時代に専攻したドイツ文学から日本の時代小説、
現代小説、海外サスペンス物まで、東西の文学に通じられていた。
外国の作品はまず原作で読むのが楽しみ、と書いていられるのを
目にしたことがある。
そして優れたエッセイストでもあった児玉さんが16日、
胃がんで亡くなった。享年77.体調を崩し、クイズ番組の
収録を休んだと先日の新聞で知ったばかりだった。
各界の著名人が自ら執筆し、10年ほど前に出版された
「私の死亡記事」という本がある。
この中で執筆者の一人である児玉さんは、子どものころから
手当たり次第に本を読みあさってきたこととともに、
組織に属さず一人でいたことが僕の勲章と記されている。
今回の東日本大震災で露呈した国の危機管理のお粗末さにも
言及されている。「知恵と想像力と決断力のある大人のリーダーを
今こそ日本は求めている」(「文芸春秋」5月号)。
死を前の病床で書き上げた原稿だったのではないだろうか。
(M.N)
技法
- 2011年5月18日 17:18
- M.N氏の岡目八目
東日本大震災で東京タワーは先端が曲がる被害を受けたが、
隅田川近くで建設が進む東京スカイツリーは、
震災の一週間後に634メートルと完成時の高さに達した。
自立式の電波塔として世界一の高さだけに、
安全のための工夫に力が注がれる。「心柱(しんばしら)」
もその一つ。塔の中にある鉄筋コンクリートの筒で、
上部は塔に固定されていない。本体とは違う揺れ方をして
地震や強風の影響を抑える。
1400年前に建立された法隆寺に使われた技法だ。
昭和の大修理を手掛けた宮大工の故西岡常一さんは著書
「木に学べ」(小学館)に書いた。
「ゆうらゆうら動いて、力が抜けるとまた元どおりに、
じっとおさまる。塔とはそういうふうに作るもんなんです」。
法隆寺の五重塔は心柱に納める仏陀(ぶつだ)の遺骨を守るために
建てられたが、スカイツリーが担うのはデジタル放送の電波を送る
機能だ。災害時にまず必要なのは情報だろう。
被災者と社会を結ぶ大切な役割を果たしてほしい。
法隆寺の五重塔には、先人たちが自然と向き合い、
学んだ技法と美意識が疑縮される。逆らわず、柔軟に。
そんな発想が、先端技術を駆使する東京スカイツリーにも受け継がれる。
来春の完成が待ち遠しい。
(M.N)
緑のカーテン
- 2011年5月15日 15:16
- M.N氏の岡目八目
立夏を過ぎ、若葉がまぶしさを増す初夏に入った。
本格的な暑さが間もなくやってくるが、今年は東日本
大震災の影響で「節電の夏」が予想されている。
子どものころ、うだる暑さの中、行水を何回もするのが
心地よかった。うちわは必需品で、よしずやすだれを上手に使い、
戸や窓は開け放たれていた。風鈴の音色も涼しさを誘ったものだ。
扇風機もそれほど普及していなかったが、今よりは
過ごしやすかったように思う。それに比べて地球温暖化と
都市化が進む現代の暑さは実に厳しい。その中での節電だ。
エアコンに慣れきった身では早めに対策を考えておきたい。
強い日差しを和らげるのに、最近はゴーヤなどのつる性植物による
「緑のカーテン」が人気だという。葉から水分が蒸発する蒸散作用が
周囲の気温を下げてくれるし、豊かな緑による癒し効果も大きい。
国交省も「今からできる、誰でもできる緑化」と普及を呼び掛けている。
自治体が緑のカーテンづくりを勧め、実践する自治体、学校なども
少なくない。ゴーヤは、今植えれば7月過ぎには葉が生い茂るという。
栽培に手間がかからないのも魅力だ。子どものころの暮らしを
思い出しながら、電気に頼らない夏を工夫したい。
(M.N)
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