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和風クールビズ

衣替えの月と共に、通勤や通学も白を基調にした装いが目立ち、
軽やかで涼やかな夏服が街路樹などの緑色にまぶしく映る季節。
これから夏の色が濃くなっていく。今年は「クールビズ」を上回る
軽装「スーパークールビズ」も仲間入りだ。
"初夏の風物詩"の光景は例年以上に広がりそうだ。

ピンクや黄、青などの色とりどりの幾何学模様やハイピカスの花柄。
ポケットまで付いている。これが、あの「ステテコ」とは思わなかった。
近づく「父の日」プレゼントの人気商品となっているという。
地肌が透けて見える白地の昔風とはまるで別物。ちりめん仕立ての
新作は男女兼用で、外出もOKというのが売り物だ。

ステテコといえば、もともと肌着だった。ただ、家の周りくらいなら
そのまま出歩けた。近所のおじさんたちが縁台を持ち出し、道端へ。
うちわ片手の世間話に花を咲かせる。そんな夏の夕暮れを
思い起こす世代ともいえよう。

エアコンを切って窓を開け、打ち水や扇風機で涼をとる。
昭和の風情を見直すことは、ステテコ復権とも一脈通じていそうな
気がする。節電対策も熱が入っている。各企業では、平日の
電力使用量を抑えるため、いろいろな工夫がなされているようだ。
高めの室温に耐えるには衣とともに気分を入れ替え、
やがて迎える長い梅雨の時季も乗り切りたいものだ。

(M.N)

浮世絵版画

歴史上の名画や彫刻、工芸品の中には損傷や破損のほか、
歳月を経て劣化し、当初の状態から大きく変わってしまった
ものが多い。それでも、どんな発色、彩色だったのだろうかと
想像してみると楽しい。

千葉市美術館で開催中の「ボストン美術館浮世絵名品展」は、
保存状態の良い作品を堪能できるのが魅力だ。
鳥居清長、喜多川歌麿、東洲斎写楽の三大絵師を中心とした展示が、
鮮明な色彩美を伝えている。

植物性の塗料が多く使われていたため、色あせ、変色しやすい
当時の浮世絵版画だ。光や湿度の影響で、本来の色を残している作品は
ほとんどないという。特に紫色は変わりやすく、茶色っぽく
退色してしまうそうだ。

会場には、着物の模様も美しく鮮やかに、約200年以上前に
摺(す)られたとは思えない色合いの作品群が並んでいる。
明治期にアメリカに渡って封印されたことが、保存上幸いしたようだ。

清長、歌麿、写楽らが活躍した天明・寛政期(1781~1801年)は、
政権の安定と経済発展により町人文化が繁栄した時代。
気品をたたえた美人群像や迫力ある役者絵に囲まれ、江戸の活気と
華やいだ空間に誘われる。

描かれた季節感も豊かだ。団扇(うちわ)や扇子を手にした女たち、
川端での夕涼み、舟遊び・・・。
社会と経済が行き詰まり、市民生活の見直しさえ迫られた現代社会。
江戸風俗のしなやかさが輝かしいほどである。

(M.N)


端正

端正という言葉が似合う人は最近ではめったにお目にかからぬが、
俳優やクイズ番組の司会者として親しまれた児玉清さんは、
その数少ない一人だった。

ぴんと伸びた背筋と同様、簡潔で歯切れのいい口調は
どこか潔さを感じさせた。NHK大河ドラマ「龍馬伝」では
坂本竜馬の父親役を演じられたが、端然として存在感があった。
映画やテレビで名を上げる一方、早くから大の読書家
としても聞こえた。

それも学生時代に専攻したドイツ文学から日本の時代小説、
現代小説、海外サスペンス物まで、東西の文学に通じられていた。
外国の作品はまず原作で読むのが楽しみ、と書いていられるのを
目にしたことがある。

そして優れたエッセイストでもあった児玉さんが16日、
胃がんで亡くなった。享年77.体調を崩し、クイズ番組の
収録を休んだと先日の新聞で知ったばかりだった。
各界の著名人が自ら執筆し、10年ほど前に出版された
「私の死亡記事」という本がある。

この中で執筆者の一人である児玉さんは、子どものころから
手当たり次第に本を読みあさってきたこととともに、
組織に属さず一人でいたことが僕の勲章と記されている。

今回の東日本大震災で露呈した国の危機管理のお粗末さにも
言及されている。「知恵と想像力と決断力のある大人のリーダーを
今こそ日本は求めている」(「文芸春秋」5月号)。
死を前の病床で書き上げた原稿だったのではないだろうか。

(M.N)

技法

東日本大震災で東京タワーは先端が曲がる被害を受けたが、
隅田川近くで建設が進む東京スカイツリーは、
震災の一週間後に634メートルと完成時の高さに達した。

自立式の電波塔として世界一の高さだけに、
安全のための工夫に力が注がれる。「心柱(しんばしら)」
もその一つ。塔の中にある鉄筋コンクリートの筒で、
上部は塔に固定されていない。本体とは違う揺れ方をして
地震や強風の影響を抑える。

1400年前に建立された法隆寺に使われた技法だ。
昭和の大修理を手掛けた宮大工の故西岡常一さんは著書
「木に学べ」(小学館)に書いた。
「ゆうらゆうら動いて、力が抜けるとまた元どおりに、
じっとおさまる。塔とはそういうふうに作るもんなんです」。

法隆寺の五重塔は心柱に納める仏陀(ぶつだ)の遺骨を守るために
建てられたが、スカイツリーが担うのはデジタル放送の電波を送る
機能だ。災害時にまず必要なのは情報だろう。
被災者と社会を結ぶ大切な役割を果たしてほしい。

法隆寺の五重塔には、先人たちが自然と向き合い、
学んだ技法と美意識が疑縮される。逆らわず、柔軟に。
そんな発想が、先端技術を駆使する東京スカイツリーにも受け継がれる。
来春の完成が待ち遠しい。

(M.N)

緑のカーテン

立夏を過ぎ、若葉がまぶしさを増す初夏に入った。
本格的な暑さが間もなくやってくるが、今年は東日本
大震災の影響で「節電の夏」が予想されている。

子どものころ、うだる暑さの中、行水を何回もするのが
心地よかった。うちわは必需品で、よしずやすだれを上手に使い、
戸や窓は開け放たれていた。風鈴の音色も涼しさを誘ったものだ。

扇風機もそれほど普及していなかったが、今よりは
過ごしやすかったように思う。それに比べて地球温暖化と
都市化が進む現代の暑さは実に厳しい。その中での節電だ。
エアコンに慣れきった身では早めに対策を考えておきたい。

強い日差しを和らげるのに、最近はゴーヤなどのつる性植物による
「緑のカーテン」が人気だという。葉から水分が蒸発する蒸散作用が
周囲の気温を下げてくれるし、豊かな緑による癒し効果も大きい。
国交省も「今からできる、誰でもできる緑化」と普及を呼び掛けている。

自治体が緑のカーテンづくりを勧め、実践する自治体、学校なども
少なくない。ゴーヤは、今植えれば7月過ぎには葉が生い茂るという。
栽培に手間がかからないのも魅力だ。子どものころの暮らしを
思い出しながら、電気に頼らない夏を工夫したい。

(M.N)

 

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