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スタッフブログ

夏休み

もうすぐ子どもたちの待望の夏休みだ。3学期制の学校では
その前に通知表という憂鬱な(ゆううつ)な"関門"が控えているが、
最近はその内容がかなり様変わりしているそうだ。

子どもたちの行動や性格について先生が意見を述べる「所見欄」。
昔ならば「落ち着きがない」「反抗的なところがある」などと書かれ、
親からも注意されたものだ。しかし近ごろは「行動的で好奇心が旺盛」
「自分の意見が言える」などソフトな表現に言い換えられているようだ。
教師向けにそのためのマニュアル本も出版されているらしい。
 
元教師の弟に確かめると「その通り」。と教えてくれた。
理由は子どものいいところを評価し伸ばすためだという。
プラス評価で短所も改善される可能性が高い。だが果たして
それだけだろうか。一般論として聞くところによれば、先生から
欠点を指摘されることに我慢ならない父母が多いと聞く。

子どもの行動が目に余るときは保護者懇談会で知らせたり、
さらに家庭訪問で改めるようにお願いするそうだ。なんとも非効率的で
回りくどい氣がする。波風を立てたくない気持ちも分からないでもない。
しかし子どものためを思えば、言い換えでなく真意を伝えるのが望ましい。
先生と保護者の信頼関係が揺らいでいるとしたら、むしろその方が
問題の根が深いと思う。

(M.N)

企業の進化

東日本大震災や電力不足の影響で、製造業が相次いで
日本から逃げ出すのではないか、との懸念が強まっていると聞く。
もともと産業界は、世界でも厳しい環境規則、高い法人税、
新興国と比べると割高な賃金などをあげ、
「まるで製造業は日本を出て行けと言わんばかりだ」と不満を
漏らしていた。

そこへ震災が襲い、経営者は大地震リスクを再認識するとともに、
生産拠点を国内外に分散する必要性を痛感した。
さらに定期点検を終えた後も原発が再稼動できない状況となり、
電力不足が全国で長期化する可能性が高まった。
民間エコノミストの間でも「いよいよ製造業の海外移転が
加速し、国内産業の空洞化が本格化する」との見方が広がる。

ところが、自動車や電機などの大手企業の経営者は
「むしろ日本市場は今後成長が期待できる有望市場」との意外な
答えが返ってきた。その背景には太陽光や風力、地熱など
再生可能な自然エネルギーを活用した「新たな成長分野」が、
急速に台頭してくるとの読みがあるようだ。

自動車業界は電気自動車(EV)を「各家庭専用の大型蓄電器」として
普及させ、電機業界はIT技術で効率的なエネルギーの利用を目指す
次世代送電網「スマートグリッド」を中核事業に育てることで、
それぞれに高い成長が期待できる「新しい商品」を手にするというのだ。

日本製造の技術力はレベルが高いだけでなく、幅広い分野に及ぶ。
環境文化にしたたかに適応しようとする「企業の進化」に大いに
期待したいものだ。

(M.N)

伝統文化

最近,「団扇(うちわ)」や「扇子」「簾(すだれ)」など、
難解ながらも、どこか懐かしさが感じられる漢字を目にする
機会が多くなった。

東日本大震災に伴う巨大地震と大津波、原発事故で、
15%を目標とする節電が求められる今夏、
先人の知恵が見直されていることが背景にある。
器用な手先に加え、知恵と工夫で暑い夏を乗り切ってきた
伝統文化に視線が注がれている。

このうち最も庶民的な「団扇」は、中国の発祥で
紀元前3世紀には存在したといわれている。丸(団)いもので
あおぐの意味があり、古くは貴人の日よけ、戦国時代には
軍配に活用され、江戸時代には役者絵や美人画などを挿入した
うちわが普及したという。

日本三大有名うちわに「京団扇」「讃岐(丸亀)うちわ」
「房州うちわ」がある。扇部を支える柄を手に持ち、
強弱の手加減で自然な涼風を提供する。
夏場の販促グッズとしても人気が高く、各家庭には
知らず知らずのうちに常時数本のうちわが備えられていた。

節電の夏を迎え、うちわ事情にも異変が生じている。
年間生産量が1億本余りと国内生産量の9割を占める
香川県丸亀市では、例年より1カ月早く5月から本格生産を
開始したそうだ。しかし想定外の注文殺到に生産が追い付かず、
関係者はうれしい悲鳴を上げているという。

梅雨入り後の蒸し暑さにたまりかね、あったはずのうちわを
探すが見つからない。例年、この時期から始まるPR用の
無料うちわ配布も見掛けず、需要に供給が追い付かない事情に
思わず納得した。一過性の現象に終わらせず、
伝統文化の永続的な継承にも結び付けたいものだ。

(M.N)


日韓の絆

東京のJR新大久保駅のホームに降りたら、食欲をそそるにおいがした。
周辺はコリアタウンと呼ばれる。昔から韓国料理店が多かったが、
近年さらに増えて狭い路地までハングルの看板がひしめく。

休日は大変なにぎわいで、少女時代やKARAといった
韓国音楽グループが人気の昨今は、CDやアイドルグッズを売る店が
特に混雑している。昔からの住民には戸惑いもあろうが、
街を訪れる日本人は引きも切らない。

「冬のソナタ」で火が付いた韓流ドラマも根強い人気で、
放映が途切れることがない。長年「近くて遠い国」といわれ、
いまだに歴史や領土の問題を抱える日韓両国だが、
市民レベルでは心の垣根が以前よりずいぶん低くなったと思う。

新大久保駅といえば、ホームから落ちた男性を助けようとして、
韓国人留学生・李秀賢さんと日本人カメラマンが亡くなった事故から
10年がたつ。駅には二人の顕彰碑がある。

命日の1月26日に合わせて開かれてきたしのぶ会は今年が最後だった。
しかし、李さんの勇氣ある行動がきっかけで始まったアジア人留学生への
奨学金活動は続けられ、秋の奨学金授与式で故人を引き続き追悼するという。

奨学会によると、見舞金や寄付を元に日本語を学ぶ485人を支援してきた。
発案者である李さんの父親も長く続けることを願っていられるそうだ。
その思いを大切にして、日韓の絆をさらに深めたい。

(M.N)

五百羅漢

東京タワーに近い浄土宗の大寺・増上寺は、宗教は異なるが
日光東照宮、上野の寛永寺とともに徳川将軍家の霊廟(れいびょう)
・神社の1つとして知られる。この寺の蔵に幕末の絵師・狩野一信
(1816-63)らが10年の歳月をかけて描いた仏画100幅が、
明治の廃仏毀釈や大戦の戦火を潜り抜けて保存されていたという。

その公開されている大作「五百羅漢」を江戸東京博物館で見てきた。
背丈をはるかに超える大画面に、釈迦の弟子である数人の羅漢が登場し、
人々を救済したりする様子が描かれている。博物館によると、
一信は15世紀から約400年続いた狩野派の最後を飾る絵師で
48歳で病没するまでの10年間をこの製作に費やした。

21幅の「六道地獄」からは幕末の不安な空気、
82幅の「七難震」からは安政の大地震当時の阿鼻叫喚(あびきょうかん)
が伝わってくる。羅漢の存在感、迫力に思わず息を呑む。

今年は平安末期から鎌倉初期を生きた浄土宗の開祖・法然の
没後800年。博物館は、この機会にと「五百羅漢」を企画したという。
法然といえば、宇都宮氏と交流があった人物であり、当時の下野国
とも縁がある。

一信も、法然と同じような時代の変わり目に生きた。
一信が今に生きていれば、大震災と大津波、原発事故後のこの国を
どう描いただろうか。

(M.N)

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