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ミャンマーの自由化

映画として「ビルマの竪琴」を見た覚えがある。市川崑監督が
最初にメガホンを取ったモノクロの作品だ。兵士たちが口ずさむ
「埴生の宿」の美しい合唱。僧となった水鳥上等兵が奏でる
「仰げば尊し」のメロディーが印象的だった。

その「ビルマ」から名称を改めたミャンマーで、民主化に向けた動きが
進んでいる。同国では長年にわたり軍事政権が続いていた。だが、
欧米からの厳しい経済制裁もあり、大きく方向を転換。先日行われた
連邦議会の補欠選挙は、国際社会から注目を集めた。

一連の民主化運動を指導してきたのはアウン・サン・スー・チー氏。
この間、度重なる自宅軟禁をはじめ、英国にいる家族との別離など
数多くの苦難があった。それにもめげることなく、固く重い扉を
少しずつこじ開けてきた。

彼女は「ビルマ建国の父」と呼ばれた将軍の娘。そうした血筋
だからこそ常人にはまねのできない、強い意志を持ち続けたのだ
ーと勝手に思い込んでいた。しかし、「地名の世界地図」(文春新書)
で調べてみると、ミャンマーとはビルマ語で「強い人」の意味。
なるほど合点がいった。

首都「ヤンゴン」の地名も興味深い。「戦いの終わり」という意味を持つ。
僧俗や学生など数千人が虐殺されたとされる自由化への戦いが、
いよいよ終わりに近づいたのだろうか。

あぁ、やっぱり自分は帰るわけにはいかないー。「ビルマの竪琴」の
ラストは、水島上等兵の心を代弁したオウムの声だった。
夫や子供と離れ、祖国にとどまったスー・チー・氏。二つの心が
重なって見えた。

ひな誕生を祈る

「 日本書紀」や「万葉集」で『桃花鳥』と記されている
朱鷺(とき)色の羽を持つトキ。江戸時代には全国で見られたが、
明治期に乱獲などで減り、戦後は佐渡島と能登半島に生息域が
限られ、絶滅の道をたどった。 トキがすみ着くのは里地里山。
ドジョウ、サワガニ、カエル、昆虫などを捕食する。

「佐渡で放鳥トキひな誕生」ー新聞やテレビに36年ぶりに
かわいい姿が映った。ビデオには親鳥から餌をもらう様子や
「ピピピピー」という鳴き声も記録されているという。しかも3羽も。
新たな命は野生復帰への第一歩。

13年前に中国から贈られたぺアで人工繁殖に成功し、
4年前から放鳥を始めた。44羽が生存しており、今回のペアを含め
10組の抱卵が確認されているといい、ひな誕生の続報も
期待できそう。ひなが誕生するには豊かな自然環境づくりが大事だ。

佐渡住民あげて、水田がトキの餌場に戻るように農薬を減らし、
冬期間も水を抜かない農法に着手。減農薬稲作の取り組みで
佐渡市が「世界農業遺産」に登録された。自然界には天敵の
カラスやテンなどがいる。すくすく育って、美しい舞が見たいものだ。
日々100種が全滅しているといわれるが、「放鳥トキひな誕生」は
全滅種復活の手本になる。

懐かし野球

昔の名前で出ています。今シーズンの中日ドラゴンズの
監督、選手の顔ぶれを眺めながら、こんな言葉が浮かんできた。
高木守道・新監督以下中日のかっての監督、スター選手が
古巣に戻ってリーグ3連覇を狙う。天才勝負師ながら偏屈を通した
落合博満前監督を引き継いだ里帰り陣容が懐かしい野球を誘っている。

その懐かしい野球に円熟の味を添えるように山本昌弘投手が
最年長記録を塗り替えた。先日の阪神戦で先発勝利投手として
球界記録、勝利投手としてリーグ記録を最年長で更新した。

46歳の年齢を刻んだ超ベテランは「この年齢になると
何をやっても最年長」と記録の枕詞(まくらことば)に苦笑い。
測ったような制球力で新記録を築いた試合は完封に近い
8回無失点。9回を締めた抑えの岩瀬仁紀投手は37歳。
46歳から37歳の完封リレーも年齢絡みの記録になるかも
しれない。

年齢絡みと言えば監督に復帰した70歳の高木監督を、
同じ里帰り組の73歳の権藤博コーチが補佐し、後期高齢者の
仲間入りを控えた首脳陣が老竜を率いる。山崎武司43歳、川上憲伸
36歳の投打主力の出戻り組ももう一花咲かせようとする。

阪神の和田豊新監督は現役時代に軽快な守備で80年代後半の
ヤングタイガースの一角を担った。弱くても若虎ともてはやされた
時代である。負けても負けても明日があるとファンは自虚趣味に
寄りかかるように甲子園に通い詰めた。野球はアラフォーからの
老竜パワーに球春の六甲おろしが肌寒い。

新入社員頑張れ

 「就職したらトイレ掃除の担当を命じられてね」。知人の子息が新入社員時代
を振り返る。大学を卒業し、社会での活躍を自信満々に思い描いていた。
会社勤めの地味な現実との落差に不満がたまる。

掃除をするために大学を出たんじゃない、もう辞めようかーと家族に相談し
た。父親が言葉を掛ける。「大学を出たなら、出たなりのやり方があるんじゃないか。
一生懸命考えてやってみろ」。男性は奮起し、あれこれ工夫して掃除に打ち込む。
与えられた仕事に精いっぱい取り組む姿勢が身に付く。
社会人として一回り大きくなった気がした。

見城徹さんら著「憂鬱(ゆううつ」でなければ、仕事じゃない」(講談社刊)
を読んでみた。「うまくいかない」と嘆く人に、見城さんは「君は体を張ったのかい?」
と問うている。<七転八倒しながら、リスクを引き受けて、憂鬱な日々を過ごす>
ことが大事と説いていられる。

今春、就職した若者と話す機会があった。思い通りにいかず悩むこともあろ
う。掃除だろうと何だろうとまず目の前の仕事に全力を尽くしてみる。
いつの間にか壁を乗り越え、成長した自分に気付くはずだ。

政治・政争

これで何人目になるのだろう。菅内閣当時の仙谷由人官房長官と
馬淵澄夫国土交通相、野田内閣での一川保夫防衛相と山岡賢次
消費者行政担当相。いずれも野党が多数を占める参院で問責決議案が
可決され、法的拘束力はないものの退任に至った。

今度は資質が問題視される田中直紀防衛相と、岐阜県下呂市長選の
告示前に特定候補への支持を依頼した前田武志国土交通相である。
自民党が二人の問責決議案を参院に提出して本会議で可決された。
問責を出されたのは政権交代後これで6人になる。もっとも、二人は
続投の意欲を見せているし、野田首相も辞任の必要はないとの考えのようだ。

確かに、田中防衛相の国会答弁はあまりにもお粗末すぎる。
前田国交相の行為も軽率のそしりを免れない。ただ、政争の具として
問責乱発は、国会審議をいたずらに停滞させるだけである。

いま国会では、原発の再稼動問題や、消費税増税関連法案などの
重要案件がめじろ押しだ。外交的にも、北朝鮮のミサイル発射に続く
核実験が懸念されているし、石原慎太郎東京都知事の尖閣諸島購入
発言も飛び出した。日中間がぎくしゃくするのは必至だ。

これでは被災地の復興もままならないだろう。日本の政治そのものに
「問責」を突きつけたいくらいである。


 

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