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伝統と景観

ドイツの建築家ブルーノ・タウトが亡くなって今年で76年。
1933年に来日したタウトは桂離宮を世界に紹介するなど、
各地を旅しながら日本の美を再発見したことで知られる。
白川郷には35年5月に訪れ、合掌造り家屋を「建築学上
合理的であり、かつ論理的である」と絶賛したことで、
広く世界に注目されるきっかけとなった。

日本の文化的価値については、しばしば海外から
教えられることも多い。身近すぎて気が付かないのか、
それとも自信がないのか。浮世絵の芸術性の高さを
認めたのも、海外の方が先だった。

昨年は、「富士山」がユネスコの世界文化遺産に、
「和食」が無形文化遺産に登録された。ともに日本を
象徴する文化で、日本人の心が世界に認められたと
胸を張ってもいいと思う。

ただし、もろ手を挙げて喜んでばかりはいられない。
例えば、日本の食文化は、自然や四季の移ろいを表現して
楽しむとともに、年中行事とも密接に関わって育まれてきた。
洋食が普及した今、その食習慣が失われつつあるのでは
ないだろうか。

遺産登録を契機に今後、外国人観光客の増加や
農水産物の輸出拡大も期待される。しかし、大切なのは
伝統や景観を守り、次世代に引き継いでいく努力を
怠らないことではないだろうか。

日本女性科学者の大偉業

小保方晴子さんは、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター
(神戸市)に勤める研究ユニットリーダーだが、STAP細胞という
新たな万能細胞の作製に成功した立役者だ。研究者といえば
白衣というイメージがあるのに、ご本人は祖母から貰った割烹着を
愛用しているといわれるのには笑ってしまった。この個性が
再生医療に新たな可能性を切り開いたのかもしれない。

この細胞がどのような革命をもたすのか、実用化にはまだ
超えなければならないハードルが色々待ち受けているのだろうが、
山中伸弥京大教授の開発もたiPS細胞に続いて画期的な発見が
日本から生まれたことは大いに誇るべきだ。

この細胞は作製が容易でがん化のリスクも低く、実用化されれば
神経や筋肉の細胞に分化する能力があると確認された。
マウスを使った実験ではあらゆる細胞に変わることができる
可能性を示したという。これは再生医療にとって偉大な一歩である。

この分野はいまや日本の独壇場と化した趣があり、今後裾野が
広がればさらに新たな発見、発明が促されることになろう。
オール日本が個人の平和にもつながるこうした研究に貢献していけば、
このところすっかり自信を失った日本人はようやく覚醒するだろう。

 

細川藩

文武両道に秀でた人物といえば、まず戦国時代の武将
細川幽斎(ゆうさい)が挙がるだろう。幽斎は熊本藩細川家の
初代にあたる。権力の趨勢(すうせい)を見極め、
足利将軍家から信長、秀吉、家康まで6人に仕えた。
天下分け目のとき的確に判断できたのは、巧みな
情報収集力があったためとされる。乱世にあって歌学を究め、
茶道・能・有職故実(ゆうそくこじつ)に通じた当代一の文化人だった。

生き抜くには文化人の才も役立った。関ヶ原の戦いで居城を囲まれ
死を覚悟したときは、かけがえのない歌学者を救うため、
後陽成天皇が講和の勅命を下している。それから18代目が、
にわかに注目の集まる細川護煕元首相だ。都知事選に立候補されている。

「若いときから決めていた」と還暦を機に政界を去り、神奈川県
湯河原町の山荘で晴耕雨読の生活に入った。徹底して突き詰める
先祖譲りの性分kらか、間もなく始めた陶芸の道で表川得た。
近ごろは京都の寺のふすま絵も描き、多才ぶりを発揮されている。

晴耕雨読は現代人のロマン。それを見事に実現し、また
「76にして立つ」とは。国政選挙が望めぬ中で、脱原発が進まない
現状を民意に問うなら意義はあろう。同世代を「第三の人生」へ
奮い立たせるかもしれない。政界のみならず波紋が広がりそうな
細川さんの決断である。

コンパクトシティ

住宅や店、病院や公共施設が一定の範囲に集まり、
徒歩や公共交通で快適に暮らせる・・・。そんな「コンパクトシティ」
構想を進めようと、政府が本格的な自治体支援に乗り出す。

市町村が住宅を誘導する区域では、マンションやスーパー、
病院、介護施設などを集約した大規模施設を建設しやすいよう
制度を緩和、良好な景観づくりや緑化事業についても資金面で
支援する。逆に郊外での大型施設建設は、届け出制を導入して
抑制する。国土交通省は今回の通常国会に、都市再生特措法の
改正案を提出するようだ。

ニュータウンの建設、郊外大型店などが象徴するように、
これまで街は拡大を続けてきた。しかし、交通渋滞や中心市街地の
空洞化など、深刻な問題を抱え込んでいるのが実情だ。
高齢者など交通弱者にとって、買い物や通院といった
日常の暮らしさえ困難になりつつある。

少子高齢社会が到来する中、過度に拡大した街をどう縮小、
再編し、市街地再生につなげるか。税収の伸び悩みも予想される中、
都市経営のコスト削減は行政にとっても課題だ。

「都市の縮小」というとマイナスイメージが伴うが、コンパクトな都市空間、
車に依存しない社会は、地球環境への負荷軽減にもつながる。
20年後、30年後を見据え、住民参加の議論を深めたらどうだろうか。

建設業界の現状

東日本大震災の被害地の復旧工事が、建設業界の人手不足で
思うように進まないようだ。加えて、経済対策「アベノミクス」による
公共事業の大幅増だ。かってのバラマキ同様、借金を
増やすだけで、景気浮揚にはつながらない。と言われている。

さらに、消費増税に伴う駆け込み住宅建築、東京五輪に向けた
施設整備も待ち受ける。需要はあるのに・・・。専門技能を持った
職人たちが、決定的に不足しているというのである。技能を
身につけるには、年月を要するが、仕事が減り続けてきたため、
安定収入が得られない職人たちは、大幅に減ってしまった。

公共事業では、1回目の入札で決まらない「不調」が増えている。
民間工事の駆け込み発注が多く、公共事業に手が回らないと言い、
その原因の一つが、職人、技術者の不足だ。再入札で決まったとして、
今度は工期の問題が生じる。

官民を問わず、短期間で仕上げるには、多くの人手が要るし、
どこかが雑にならないとも限らない。業界の人手不足を解消する
取り組みを始めねばならない。給与、社会保険等の改善も
求められよう。

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