スタッフブログ
師弟関係
- 2013年2月12日 13:02
- M.N氏の岡目八目
柔道女子トップ選手への暴力問題をきっかけに、
日本のスポーツ界で「選手と指導者の在り方」が問い直されている。
重いテーマだなと思っていた折、「いい話」が聞こえてきた。
競泳男子平泳ぎの北島康介選手が、かって師事した平井伯昌
コーチの下で練習し現役を続行するという。「水泳人生を
締めくくるには、もう一度平井先生に指導してもらいた」。
弟子からうれしい声のプレゼントが届けられた。
平井コーチの教えを請うため海外からも有力選手が来る。
選手は技術の取得に集中する。そこに暴力の入り込む余地はない。
感情を制御できず、選手に暴言を吐き、手を出す。コーチの
力不足を露呈しているようなものだ。「情熱」の継続は
根気のいる作業でもある。
かってのプロ野球選手で、巨人の荒川博、王貞治両氏の
師弟関係は有名だ。打者に転向して力を発揮できない王選手に、
荒川コーチは「一本足打法」を挑戦させる。ひたすらバットを振る。
思いを共有することで困難を乗り越えた。
体操男子のアテネ五輪団体総合金メダリスト、塚原直也選手は
旧ソ連の元エース、故ニコライ・アンドリアノフ氏に8年間、教わった。
「知恵のあるコーチ」に出会ったことが幸運だったと話した。
「知恵」とは多彩な指導の引き出しを持つことだと思う。
マスクが手放せない
- 2013年2月12日 12:59
- M.N氏の岡目八目
毎年春になると、遠く中国からやって来るのが「黄砂」だ。
関東地区でも4月下旬から5月上旬にかけての数日は、
黄砂現象が見られ、洗濯物や車を汚すなどの被害も出る。
ところが今年は、その季節を待たずに、厄介なものが
中国から飛んできている。大気汚染物質が、風に乗って
日本にまで飛んできているのだ。
問題は、肺がんやぜんそくを引き起こす可能性があると
される微小粒子状物質「PM2,5」が含まれていること。
福岡市では今年に入り、環境基準値を上回PM2,5の数値を
3日間観測されたそうだ。環境省では日本に飛来するまでに
濃度は薄まっており、「健康への影響が出るレベルではない」
とするものの、やはり不安は募る。空中を漂う汚染物質は、
航空機や船のように追い払うことができない。
元を断つのが一番だが、経済発展を最優先させる中国にとって、
環境悪化を食い止める方針に急激に舵を取るのは難しいだろう。
とはいえ、中国の経済発展のツケを回されるのだけは
願い下げたいものだ。粒子は小さくて通常のマスクを通り抜けるため、
効果はないとされる。ただ、インフルエンザの流行、大気汚染物質
の飛来、花粉の季節が続くとなれば、しばらくはマスクが手放せない。
孫への教育資金
- 2013年2月 6日 08:48
- M.N氏の岡目八目
昭和を代表する作家の一人に吉川英治作家がいる。
代表作は「宮本武蔵」や「三国志」「新・平家物語」など。
これらを原作とした映画やテレビドラマは数多い。
工場勤めだった若い頃、彼の元に母親から小包が届いたそうだ。
中を開けてみると欲しかった本と一緒に、刻みタバコがあった。
愛煙家だった息子のため、夜な夜な針仕事を続けては、
お金をため、やっとの思いで買いそろえたに違いない。
その優しい心に触れた息子は、胸が熱くなり泣いた。
以来、彼は小包を結わえてあった母の赤い腰ひもを
肌身離さず身に着けた。苦労しながらも独学を続けた
吉川英治作家は、やがて文化勲章の受章作家となった。
扇谷正造著「君よ朝のこない夜はない」(講談社)にあった逸話だ。
その昔は、親たちが汗水を流して働き、子供たちの教育資金を
工面した。青雲の志を抱き、地方から都会の大学などに進むと、
なおさら学資もかさんだ。大作家が晩年になっても語った
赤い腰ひもではないが、故郷からの仕送りは何物にも代え難いものだった。
政府・与党は新たな税制改正大綱案を固めたようだ。この中では
祖父母が孫に教育資金を一括して贈与する場合、1人当たり
1500万まで非課税とする方針。高齢者の資産を若い世代に
移すことで、消費を促す狙いらしい。
「シックスポケット」なる言葉がある。今の子供には両親のほか、
父方母方の祖父母を加えた六つの経済的な財布を指す。
税改正で今後は四つの財布からも教育支援が増えるとすれば、
そのありがたみをどう子に伝えたらいいのか、それも親の務めとなる。
円高と円安の変動
- 2013年1月28日 19:33
- M.N氏の岡目八目
対立する価値観の双方を丸く収めることがいかに至難か、
その立場を最も痛感するのは政治家だろう。円高に怨嗟
(えんさ)の声が上がっていたのにいざ円安に振れると
今度は逆の声が上がり出したからだ。
どこまでも平行線をたどる円高と円安の変動はいずれかの側に
利益をもたらし、一方には逆となるのだが、近年はずっと円高が
続いていたため輸出産業を中心に是正の要望が高まっていた。
安部政権の誕生でインフレターゲットが定まるとすぐ市場が反応、
久しぶりに円安基調となったことに喜びの声が上がるのは当然だ。
しかし誰もが円安を歓迎しているわけではない。原材料を
外国から輸入している側には円の目減りとなるので、こちらの
市場もただちに反応した。原油、ガス、石炭、その他天然素材を
高く買うハメになれば一転して円安反対の空気が高まっていく。
輸入も輸出も為替の変動が利害に直接結びつくため、
当事者が一喜一憂するのは仕方ないが、良いときは
口をぬぐっておいて悪くなると騒ぎ出すというのは勝手すぎる。
そこは考えようで、どちらが国益にかなうのか比較してみるのも
ムダではあるまい。
一般庶民には例えば輸入原料を安く入手できる円高の方が
プラスになる。しかし円安となって貿易高が増え、それが経済を
潤すならそちらのメリットも大きいはずだ。つまり二人の息子が
傘屋と下駄屋だったら、雨にしろ風にしろどちらかが困ると考える
のではなく、どちらかが儲かるとプラス思考すれば、そう大騒ぎする
必要もないと思うのだが、甘い考えか。、
日野原重明さんの講演
- 2013年1月25日 13:00
- M.N氏の岡目八目
先日、聖路加国際病院理事長の日野原重明さんの講演を聴いた。
長寿や健康の秘訣を伝授する講演は人気があり、会場は満員だったが、
この日の演題は「緩和ケアの今後の課題」だった。それでも
終末期医療の実態をユーモアを交えてしゃべられ、時折会場を
沸かせておられた。1時間、つえも手にせず立ったままだった。
避けられない最期を見つめたことが2度ある。義父と友人だった
同級生の死。どちらも末期がんだ。義父は最初、緩和ケア病棟へ
入ることを拒んだが、痛みに耐えかね処置を受け、眠るような最期を
迎えた。友人は自宅での最期を選んだ。通夜で親父さんが
「あんなに苦しむとは」と目頭を押さえていた。
日野原さんは「身内を失うと自分の過去を失う。といわれる。
友を失うと自分の一部を失う」といわれる。失ったものは慰めの言葉では
埋めきれない。「時間が解決することを信じること」なのだ。
緩和ケア施設は大幅に不足しているそうだ。縁者が身近にいない
独居高齢者の最期をだれが看取るのか。
施設増に取り組む日野原さんは「患者が納得するケアを施し、
最期に感謝の言葉と気持ちを引き出すのが寄り添う人の使命」
といわれる。穏やかな表情だが、101歳の重鎮の言葉は重い。
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