スタッフブログ
アンネの日記
- 2014年3月 4日 18:42
- M.N氏の岡目八目
東京や横浜の図書館・大手書店で「アンネの日記」や
それに関わる書籍が破られる事件が相次いでいる。
警察は捜査を始めた。ユダヤ人迫害に関係する本が
集中的に狙われていて、世界に衝撃を与えている。
第2次世界大戦中、ナチスの迫害を逃れて
アムステルダムの隠れ家で暮らしたユダヤ人の少女アンネ・
フランクが書き残した日記で、世界的ベストセラーでもある。
ナチスの恐怖におびえながらも、少女らしい夢や好奇心を
つづった文章は胸を打った。「わたし望みは、死んでからも
なお生きつづけること!」の一文に、うなづいた人も多いはずだ。
そのアンネの夢や希望が、再び引きちぎられたようで悲しい。
忘れてはならない歴史を伝える象徴的な本を切り裂くのは、
そこに書かれた歴史を否定する行為である。
誰が、なぜの疑問は尽きないが、破られた本の代わりにと
関連本を寄贈する市民の動きに気持ちが救われる。
社会のさまざまな場面で、理不尽な「暴力」が露出し始めている。
ささやかではあっても一人一人が自分の中に
「抵抗の砦」を築いていくことが大切だと感じる。
NHKの役割
- 2014年3月 4日 09:17
- M.N氏の岡目八目
NHKが激震に見舞われている。会長は不適切な発言を繰り返し、
経営委員からも物議を醸す発言が相次いだ。会長は就任直後、
10人の理事全員から日付を空欄にした辞表を提出させていた
ことも発覚した。発言は放送法の「政治的な公平」に抵触する
可能性があるし、事前に辞表を提出させる行為は、現場からの
異議を封じることにつながる。
菅官房長官は会長らの発言について「放送法に反するもの
ではない」と弁明したが、それを真に受ける人がどれほど
いるだろうか。すでにNHKには賛成に倍する批判的な意見が
寄せられているそうだ。
読みたくない新聞は購読しなければいい。しかし、テレビは
そうではない。購入しただけで月々1200円余りの受信料を
NHKに支払わなければならない。言い換えれば、主人公は
受信料を負担している側である。NHKが国営放送ではなく
公共放送である理由はここにある。
報道機関は政治を監視する役割を担っている。政府の宣伝機関
ではないし、時の政権に追従するのが目的でもない。だからこそ
放送法にも「放送の不偏不党」や「健全な民主主義の発達に
資すること』という規定があるのだ。
公共放送には、公平さと高い倫理観が求められる。
多様な声に耳を傾け、少数意見に目を配る寛容さも必要だ。
そういう組織のトップが自己の信条を押し付け、独裁的に
振る舞うのはいかがなものか。
ほのぼのとした感じ
- 2014年2月28日 11:49
- M.N氏の岡目八目
江戸の街は、徳川家康が幕府を開いてから急速に発展した。
天下太平の世が続いた江戸時代の中期には人口が100万人を超え、
当時のパリやロンドンをもしのぐ世界屈指の大都市へと成長した。
商人や職人の多くが住んでいたのは下町。建物が軒を連ね、
狭い場所に庶民がひしめき合うようにして暮らしていた。ともすれば、
いざこざが起こりがちだが、いつしか人間関係をうまく保つ暗黙の
ルールが生まれた。
狭い道路で前から人が来たら、互いに右肩を引き、体を斜めにして
擦れ違う。雨降りなら、双方が傘を外側に傾ける。相手に滴を
かけないための配慮。傘を壊す心配もない。前者は「肩引き」、
後者は「傘かしげ」と呼ばれる。
これら「江戸しぐさ」は、知らない者同士がうまくやっていくための
処世術。法律などで明文化された決まりではなく、店主が従業員に、
親が子へ語って教えた。(越川禮子著『商人道「江戸しぐさ」の
知恵袋』講談社)
先日の大雪の影響で、1人がようやく歩けるほどの狭い歩道に
雪が積もった。足元の悪さに気をとられながら歩いていると、
対向してきた年配の女性が立ち止まって道を空けてくれた。
軽く会釈すると、笑顔で会釈が返ってきた。擦れ違いざまの
一瞬の出来事だった。無言のやりとりながら、ほのぼのとした
余韻が心地よかった。
チームワーク
- 2014年2月21日 09:31
- M.N氏の岡目八目
ソチ冬季五輪のスキー・ジャンプ団体で日本が
銅メダルを獲得した朝はうれしさがこみ上げ、チーム
一人ひとりの頑張りに涙ぐむ葛西紀明選手の姿にじーんときた。
メンバーは20歳から41歳までいて、親子ほど年の差がある。
それぞれの各国の強豪を相手にしながら、けがや病気とも
闘っていた。銅はベテランが引っ張り、若手がきっちり
役割を果たした結果だ。
日本が団体で金メダルを取った1998年の長野五輪の影で、
直前に足を痛めメンバーに入れず悔しい思いをした葛西選手。
7度目となる今大会は、競技後に見せたVサインと晴れやかな
笑顔が印象的だった。
自分より若い世代の中で喜びを隠さない41歳に見入った。
悔しさをバネに変え、努力を続ければ望みはかなう。
その手本を見せてくれたように思う。
個人の銀、団体で銅を取ってなお「金メダルを取って、本当の
レジェンドと呼ばれるように頑張りたい」と次の五輪への意欲を
見せるあたりさすがだ。何事もやり続けるのも区切りをつける
のも自分次第。絶えず目標を揚げ高みを目指す姿に力をもらった。
自然の力を感じる
- 2014年2月18日 14:28
- M.N氏の岡目八目
日本の近代建築研究の第一人者で、先日68歳で逝去した
鈴木博之さんが、ある企業から、「数百年残り続けた構築物の
調査を」との依頼を受けたのは、東日本大震災の三十年前の
ことだったという。世界各地の建築遺産などを調べ、報告書を
書かれた。その時、数世紀の時に耐えうる建造物のありように
気づいたといわれたそうだ。
一つは、大理石など持ち去られやすい高価な材料や、維持に
手間が掛かる最先端の技術で造るのは、だめだということ。
泥や普通の石などありふれた材料で大きく造るのが肝要で、
ピラミッドや古墳がその例といわれる。
もう一つは、宗教に代表されるように、人々が世代を超え、
それを守る熱情を持ち続けるシステムがあること。
その好例の一つが伊勢神宮だそうだ。
大震災の教訓を鈴木さんは<自然への畏敬(いけい)の念、
そこに込められた鎮魂の思いなくしては、今後数百年にわたる
町の再生はあり得ないのではないか>と論じられようだ。
いくら私たちの生活が技術発展の上に立とうとも、自然の力を
しかと感じて生きねばならないのだと。
鈴木さんの三十年余前の報告書を手にした企業はどう
受け止めたろうか。この企業、実は原発から出る放射性廃棄物に
関連する会社で、その長期貯蔵のヒントをも求めていたそうだ。
まさか核の力を信奉する「宗教的システム」が必要と考えた
訳ではなかろう。
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