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日本とトルコの縁

日本とトルコの縁は深い。120年ほど前、トルコ軍艦が
日本からの帰途、和歌山県の離島沖で座礁し、沈没した。
島民たちは乗組員を背負って断崖を上がるなど必死の
救出活動を行い、乗務員656人のうち69人が助かったという。

上州沼田藩(群馬県)出身の山田寅次郎さんは
「遺族が気の毒だ」と、義援金5千円を集めて届け、トルコの人々を
感激させた。現在の価値で1億円ほどとか。日本が日露戦争で
勝利すると、ロシアと対立するトルコの親日感情はますます高まった。

両国の絆はイラン・イラク戦争でさらに深まった。
イランには日本人社員や家族が取り残され、絶望感に
打ちひしがれていた。その時、トルコが危険を顧みず旅客機を手配し、
200人を脱出させてくれた。軍艦沈没の時の恩を忘れていなかったのだ。

そのトルコのイスタンブールと東京都が2020年夏季五輪招致を争う。
それで競争意識が出たか、猪瀬直樹東京都知事が「イスラム教国が
共有するのはアラー(神)だけで、互いにけんかしており、階級がある」
などと失言したという。軽率と言うしかない。

だが、猪瀬知事の発言への謝罪をトルコの担当相がすぐに
受け入れたというからホッとした。これも友好の歴史があるからだろう。
相手が領土問題で対立するような国でなく幸いだった。

アベノミクス

安部政権の経済政策「アベノミクス」がもてはやされている。
確かに、政権発足からわずか4ヶ月で東京市場の平均株価は
5000円上昇し、円は1ドル=100円をうかがう局面に至っている。
金融市場は活況を呈しているが、庶民の生活はどうかと言えば、
どこの国の話だといった感じが否めない。

目下のアベノミクスの牽引者役は日銀、黒田東彦総裁だ。
向こう2年で物価指数を2%上げることを目標に、大規模な国債の
公開買い入れを進めている。お金が市中に大量にあふれれば、
物の値段は上がるのが道理だ。

デフレスパイラル脱却のために行っている大胆な政策だが、
国内外からは「実験」とやゆされ、中長期的な成果を疑問視する
向きも少なくない。不況と物価上昇(インフレ)が同居する
スタグフレーションを危惧する声も聞かれる。「空白の20年」
と呼ばれるバブル崩壊後の国内景気の長期低迷は、個人所得を
縮小させたが、物価水準が低かったために庶民は何とか生活できた。

円安に即応する形で輸入関連を中心に物価は上昇し始めている。
政府や日銀の思惑通りに物の値段は上がりつつあるが、
肝心の賃金は遅々として上がらない。名目賃金が変わらず、
物価だけが上昇するのであれば実質賃金は今より低下する。

安部首相は景況に明るさが出てきたことでペアを企業に
求めているが、どれだけの企業が応えているのだろうか。
株高、円安で輸出企業や投資家は恩恵を受けているはずで、
その恩恵を広くかつ迅速に国民に還元する政策を講じる必要が
あると思う。国民には、朝晩消費増税が待ち受けているのだから。

歌舞伎座

東京銀座のシンボル、歌舞伎座の建て替え工事が終わり、
3年ぶりの復活で周辺に華やかさが戻ってきたが、
新しくなった歌舞伎座の周辺は、開場を待つ人々でごった返し、
華やかな空気に包まれていた。

背後にそびえる高層ビル以外は、改装前の外観がよく再現
されている。ロビーや客席、舞台など内部も同様で、懐かしくもあり、
ほっとした。舞台も何もかも素晴らしい。特に座席がゆったり
しているのがいい。その出来栄えに太鼓判を押した。

1889年の開催から5代目となる歌舞伎座の完成予想図を
初めて見せてもらった時には、29階建てのオフィスビルとの
複合施設となることで、建物の伝統美が損なわれるのではないか
と思った。しかし、工事用外壁が取り払われ全容を現すと、
劇場部分はしっかりと伝統美を引き継ぎ、背後に建つ
オフィスビルが、まるで黒子のように融合していた

再開を待つうちに何人もの名優が世を去り、歌舞伎の危機と
懸念された。こんなときこそ新しい世代が育つはずと、期待の声も
上がった。確かに不在の人々の面影がちらつく。働き盛りの
40代後半から50代の役者は、なぜかもともと層が薄い。
勘三郎さんの早世でさらに際立ってしまった。この喪失感は
癒されるのだろうか。


 

80歳の挑戦

 冒険家の三浦雄一郎さんが3度目のエベレスト登頂を目指し、
日本を出発された。80歳の挑戦である。その抱負に感嘆した。
「80歳は4度目の二十歳。限界まで頑張ってみたい。プロスキーヤー
として世界7大陸の最高峰から滑降に成功するなど輝かしい実績を
持っていられる。

エレベストは70歳と75歳のときにも登頂を果たしていられる。
登頂者の最高齢記録は2008年にネパール人が達成した76歳。
成功すれば記録を塗り替えることになる。ただ、本人に記録への
執着はないそうだ。「筋力や体力は70歳のときより上がっている。
最高齢にはこだわっていない。自分の80歳にトライしてみたい」。
どこまでやれるのか。限界への挑戦は衰えることのない冒険家
スピリットだろう。

三浦さんは「父の背中が大きな力になっている」といわれる。
営林局勤めだった父の敬三さんは山岳スキーヤーとして活躍。
99歳でモンブラン氷河を滑り、101歳で亡くなる直前まで
スキーを続けられたそうだ。目標を見失っていた頃、一番近くの
大きなも目標に教えられたそうだ。

昨年秋には不整脈が再発、手術を受けられた、術後、
重いザックを背負ってトレーニングを続けられた。今回は
次男でスキーの元五輪選手、豪太さん(43)も同行される。
「あきらめなければ何歳でもできる」。
5月中旬を目指したアタックは人の可能性への挑戦となる。
ご成功を祈っている。

 

収束できない事故

政府が「終息した」と宣言したはずの福島第1原発で、
深刻なトラブルが続いている。先日は停電で長時間、
冷却水が送れなかった。今度は地下貯水槽から大量の
放射性物質を含んだ汚染水が漏れ続けていることが分かった。
東京電力は当初「原因は調査中」と繰り返すだけで有効な
対策を示せなかった。漏れた量は少なくとも120トン以上。
移送先にめどがつかないまま、毎日400トンの汚染水が
新たに発生しているという。

政府の対応はどうか。例えば昨年7月、国会事故調査委員会
の提言でできた衆院原子力特別委員会は先日、ようやく
初会合を開いた。原子力行政を監視するはずの組織なのに、
委員の多くは原発推進派に差し替えられている。原発の
改善状況を継続的に監視する仕組みもまだできていない。

どういうことだろう。さきの特別委員会では、地元の商工会長が
「国会の対応は被害者にとっても歯がゆいことだった。心の
安心を下さい」と胸の内を語った。福島県も東電の担当者を
呼んで「対応が場当たり的だ」と批判した。

事態を制御できない東電とそれを見過ごしたままでいる政府。
その一方で電力業界や政権幹部は原発再稼動に意欲をみせている。
不思議な光景である。厚顔無恥というしかない。まずは事故を
収束させること。現委員を究明し、安全対策を確保すること。
今後の話は、それができてからだ。それが政治家や企業人の
責任だと思うのだが。

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