スタッフブログ
日本とトルコの縁
- 2013年5月 9日 15:36
- M.N氏の岡目八目
日本とトルコの縁は深い。120年ほど前、トルコ軍艦が
日本からの帰途、和歌山県の離島沖で座礁し、沈没した。
島民たちは乗組員を背負って断崖を上がるなど必死の
救出活動を行い、乗務員656人のうち69人が助かったという。
上州沼田藩(群馬県)出身の山田寅次郎さんは
「遺族が気の毒だ」と、義援金5千円を集めて届け、トルコの人々を
感激させた。現在の価値で1億円ほどとか。日本が日露戦争で
勝利すると、ロシアと対立するトルコの親日感情はますます高まった。
両国の絆はイラン・イラク戦争でさらに深まった。
イランには日本人社員や家族が取り残され、絶望感に
打ちひしがれていた。その時、トルコが危険を顧みず旅客機を手配し、
200人を脱出させてくれた。軍艦沈没の時の恩を忘れていなかったのだ。
そのトルコのイスタンブールと東京都が2020年夏季五輪招致を争う。
それで競争意識が出たか、猪瀬直樹東京都知事が「イスラム教国が
共有するのはアラー(神)だけで、互いにけんかしており、階級がある」
などと失言したという。軽率と言うしかない。
だが、猪瀬知事の発言への謝罪をトルコの担当相がすぐに
受け入れたというからホッとした。これも友好の歴史があるからだろう。
相手が領土問題で対立するような国でなく幸いだった。
アベノミクス
- 2013年5月 2日 08:50
- M.N氏の岡目八目
安部政権の経済政策「アベノミクス」がもてはやされている。
確かに、政権発足からわずか4ヶ月で東京市場の平均株価は
5000円上昇し、円は1ドル=100円をうかがう局面に至っている。
金融市場は活況を呈しているが、庶民の生活はどうかと言えば、
どこの国の話だといった感じが否めない。
目下のアベノミクスの牽引者役は日銀、黒田東彦総裁だ。
向こう2年で物価指数を2%上げることを目標に、大規模な国債の
公開買い入れを進めている。お金が市中に大量にあふれれば、
物の値段は上がるのが道理だ。
デフレスパイラル脱却のために行っている大胆な政策だが、
国内外からは「実験」とやゆされ、中長期的な成果を疑問視する
向きも少なくない。不況と物価上昇(インフレ)が同居する
スタグフレーションを危惧する声も聞かれる。「空白の20年」
と呼ばれるバブル崩壊後の国内景気の長期低迷は、個人所得を
縮小させたが、物価水準が低かったために庶民は何とか生活できた。
円安に即応する形で輸入関連を中心に物価は上昇し始めている。
政府や日銀の思惑通りに物の値段は上がりつつあるが、
肝心の賃金は遅々として上がらない。名目賃金が変わらず、
物価だけが上昇するのであれば実質賃金は今より低下する。
安部首相は景況に明るさが出てきたことでペアを企業に
求めているが、どれだけの企業が応えているのだろうか。
株高、円安で輸出企業や投資家は恩恵を受けているはずで、
その恩恵を広くかつ迅速に国民に還元する政策を講じる必要が
あると思う。国民には、朝晩消費増税が待ち受けているのだから。
歌舞伎座
- 2013年4月24日 09:36
- M.N氏の岡目八目
東京銀座のシンボル、歌舞伎座の建て替え工事が終わり、
3年ぶりの復活で周辺に華やかさが戻ってきたが、
新しくなった歌舞伎座の周辺は、開場を待つ人々でごった返し、
華やかな空気に包まれていた。
背後にそびえる高層ビル以外は、改装前の外観がよく再現
されている。ロビーや客席、舞台など内部も同様で、懐かしくもあり、
ほっとした。舞台も何もかも素晴らしい。特に座席がゆったり
しているのがいい。その出来栄えに太鼓判を押した。
1889年の開催から5代目となる歌舞伎座の完成予想図を
初めて見せてもらった時には、29階建てのオフィスビルとの
複合施設となることで、建物の伝統美が損なわれるのではないか
と思った。しかし、工事用外壁が取り払われ全容を現すと、
劇場部分はしっかりと伝統美を引き継ぎ、背後に建つ
オフィスビルが、まるで黒子のように融合していた
再開を待つうちに何人もの名優が世を去り、歌舞伎の危機と
懸念された。こんなときこそ新しい世代が育つはずと、期待の声も
上がった。確かに不在の人々の面影がちらつく。働き盛りの
40代後半から50代の役者は、なぜかもともと層が薄い。
勘三郎さんの早世でさらに際立ってしまった。この喪失感は
癒されるのだろうか。
80歳の挑戦
- 2013年4月20日 08:16
- M.N氏の岡目八目
冒険家の三浦雄一郎さんが3度目のエベレスト登頂を目指し、
日本を出発された。80歳の挑戦である。その抱負に感嘆した。
「80歳は4度目の二十歳。限界まで頑張ってみたい。プロスキーヤー
として世界7大陸の最高峰から滑降に成功するなど輝かしい実績を
持っていられる。
エレベストは70歳と75歳のときにも登頂を果たしていられる。
登頂者の最高齢記録は2008年にネパール人が達成した76歳。
成功すれば記録を塗り替えることになる。ただ、本人に記録への
執着はないそうだ。「筋力や体力は70歳のときより上がっている。
最高齢にはこだわっていない。自分の80歳にトライしてみたい」。
どこまでやれるのか。限界への挑戦は衰えることのない冒険家
スピリットだろう。
三浦さんは「父の背中が大きな力になっている」といわれる。
営林局勤めだった父の敬三さんは山岳スキーヤーとして活躍。
99歳でモンブラン氷河を滑り、101歳で亡くなる直前まで
スキーを続けられたそうだ。目標を見失っていた頃、一番近くの
大きなも目標に教えられたそうだ。
昨年秋には不整脈が再発、手術を受けられた、術後、
重いザックを背負ってトレーニングを続けられた。今回は
次男でスキーの元五輪選手、豪太さん(43)も同行される。
「あきらめなければ何歳でもできる」。
5月中旬を目指したアタックは人の可能性への挑戦となる。
ご成功を祈っている。
収束できない事故
- 2013年4月15日 10:38
- M.N氏の岡目八目
政府が「終息した」と宣言したはずの福島第1原発で、
深刻なトラブルが続いている。先日は停電で長時間、
冷却水が送れなかった。今度は地下貯水槽から大量の
放射性物質を含んだ汚染水が漏れ続けていることが分かった。
東京電力は当初「原因は調査中」と繰り返すだけで有効な
対策を示せなかった。漏れた量は少なくとも120トン以上。
移送先にめどがつかないまま、毎日400トンの汚染水が
新たに発生しているという。
政府の対応はどうか。例えば昨年7月、国会事故調査委員会
の提言でできた衆院原子力特別委員会は先日、ようやく
初会合を開いた。原子力行政を監視するはずの組織なのに、
委員の多くは原発推進派に差し替えられている。原発の
改善状況を継続的に監視する仕組みもまだできていない。
どういうことだろう。さきの特別委員会では、地元の商工会長が
「国会の対応は被害者にとっても歯がゆいことだった。心の
安心を下さい」と胸の内を語った。福島県も東電の担当者を
呼んで「対応が場当たり的だ」と批判した。
事態を制御できない東電とそれを見過ごしたままでいる政府。
その一方で電力業界や政権幹部は原発再稼動に意欲をみせている。
不思議な光景である。厚顔無恥というしかない。まずは事故を
収束させること。現委員を究明し、安全対策を確保すること。
今後の話は、それができてからだ。それが政治家や企業人の
責任だと思うのだが。
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