スタッフブログ
伝承の技
- 2013年7月 2日 08:22
- M.N氏の岡目八目
薬師寺が建った1300年前、今のカンナに相当する大工道具は
なかった。長い柄(え)にナイフのような刃(は)をつけたヤリガンナ
という道具で木を削った。
昭和初期、法隆寺の夢殿(ゆめどの)で厨子(ずし)を
造り替(か)えることになった。古式のヤリガンナの使い手を捜したが
関西にはいなかった。そこで招かれたのが加賀の銅鑼(どら)造りの
初代・魚住為楽(うおずみいらく)さんだった。仏壇造りの
修業もした魚住さんは木工技術にも長けていたのだ。
これは大変なことだった。宮大工の本場の奈良で消えかかった技法が
加賀の工芸の中に残っていたのである。薬師寺や法隆寺が守りぬいた
世界的な宗教遺産と地方の伝統工芸が一本の糸でつながっている
ことを意味している。
井波(いなみ)の木工や輪島や山中漆器(しっき)の木地づくりの
技法と飛鳥(あすか)白鳳(はくほう)期の仏像の木肌に共通するものが
あると言っても不遜(ふそん)ではないでしょう。
古代の匠たちも、今日と同様、日常の家造りや器造りの中で
技を鍛え磨いたに違いない。
先日の同窓会で国宝薬師寺展を参観した友人から人と時をつなぐ
伝承の技に感動したと伝え聞いた。また、ジェクト株式会社
創立者・重太郎さんが生存されていたら、大工道具の歴史を教えて
いただけるのだが。
女性宇宙飛行士
- 2013年6月25日 20:56
- M.N氏の岡目八目
「私はカモメ」。女性として世界で始めて宇宙飛行に成功した
旧ソ連のテレシコワさんの"第一声"が報じられたのは、今から
50年前、1963年6月のことだった。その2年前に人類初の
宇宙飛行に成功した旧ソ連のガガーリンさんは「地球は青かった」
と言う言葉を残した。「青い地球」を飛ぶ「カモメ」は宇宙の
ロマンを思わせる。
詩人かとも思われたテレシコワさんは政治家になった。
76歳の今もロシア下院議員で外交副委員長を務めて
いられるようだ。50周年の記者会見では、地球を外から見た
一人として人類共存を訴えられた。宇宙のカモメ気分を味わった
女性は今は各国にいられる。50周年を記念してウィーンで
女性宇宙飛行士の討論会が行われた。日本から出席した
向井千秋さんは、宇宙では男女やさまざまな民族が
協力できると話し、「人類の絆」を強調されたそうだ。
女性を抜きに宇宙での絆は語れない時代になった。
月の次の目標になる火星も例外ではない。米航空宇宙局
(NASA)が火星などの有人探査を目指す宇宙飛行士候補として
先ごろ選んだ8人のうち4人は女性だ。地球以外の惑星にも
羽を広げるカモメを想像する。
50年前のカモメは実はテレシコワさんの暗号名で
「こちらカモメ」と交信したにすぎないという。思えば当時は
東西冷戦下だった。冷戦を象徴する暗号名に羽が生えて
伝えられたのかもしれない。宇宙にはロマンの方が似合うようだ。
看護師さんの労働
- 2013年6月23日 17:20
- M.N氏の岡目八目
「病室担当の看護師さんが優しい人かどうか」。かって入院した時、
こんなたわいのないことが患者にとっては日々の関心事だった。
期待する中の一人だと分かると、ほっとしたものだ。看護師さんの
優しさは患者の心に力を与えてくれる。
その看護師さんを含む看護職員から、ここ一年間に「辞めよう」と
思った人が半数に上る、と聞いた。「病院をかわりたい」という人も
いるそうだ。職場に不満を抱いている人が多いのに驚いた。これでは
優しさを発揮する気分になれないこともあるのでは、と少し心配になった。
「賃金が低く、努力のかいがない」「人手が足りない」「やりがいが
感じられない」「事故を起こすのではないかと不安」。不満の理由だ。
いずれも仕事量の多さが背景にあるようだ。三交代制で夜勤が月
9回以上の人もいた。
「日勤を終えて病棟を後にするのは午後8時を過ぎるのが普通」
「夕食を夜中にとるのが普通になり、睡眠不足状態の朝は食欲が
なくて食べなくなった」。こんな新人看護師さんの声を聞いた。
看護師さんの仕事は人の健康や命に関わる。忙しすぎて、
事故の不安が募るような労働環境は早急に改善してほしい。
それまでは患者やその家族が日々感謝の念を示し、看護師さんに
ストレスを和らげてもらおう。
日本野球機構(NPB)に問う
- 2013年6月20日 16:05
- M.N氏の岡目八目
「本塁打量産はなぜ?」飛ばないはずの球が次々とスタンドへ
運ばれるのはどうしてかー。その謎が解けた。「飛ぶボール」になって
いたのだ。日本野球機構(NPB)が、昨年より反発力を増すように
メーカーに微調整を指示していたことを明らかにした。
「事実を公表しなかったのはなぜ?」。今季、球の感触の違いを
実感する選手もいたが、NPBはこれまで「球を変えた事実はない」と
主張していた。しかし実際は変わっていた「混乱を招かないように
公表しなかった」としているが納得できる説明ではなく、
別の理由があるのではと疑問が残る。
選手にとってはもちろんだがファンにとっても大きな問題だ。
「ホームランが多くていい」という単純なことではない。
だまされていたとの思いは否めず、心から楽しめなくなりはしないか。
今回のことで、選手やファンはNPBに対して疑念を持ってしまった。
ボールは石ころを布で巻いて古いマットで包んで作った。
バットは木か竹棒で手づくりだった。赤バット川上、青バット大下選手を
応援した頃のオールドファンも離れていく。「ファンが離れていったのは
なぜ?」という事態に陥らないよう、統括組織としてのNPBの
今後の姿勢が重要であると思う。
北の湖土俵入り
- 2013年6月16日 16:01
- M.N氏の岡目八目
日本相撲協会の北の湖理事長が還暦の土俵入りを披露した。
太刀持ちに九重親方(元横綱千代の富士)露払いに貴乃花親方
を従え、昭和から平成にかけての大横綱のそろい踏みだった。
重心の低いあんこ型の姿はそのままだった。現役時代と同様に
早い所作で雲竜型の土俵入りを見せてくれた。せり上がりで
少しふらつく場面もあったが、威風堂々とした姿が、まぶたに残る
昭和の残像と重なった。
現役理事長で還暦の土俵入りをしたのは1988年の二子山以来
という。スピード出世を遂げた北の湖は、史上最年少の21歳2ヶ月で
横綱昇進をつかむ。憎たらしいほど強かったが真摯に土俵を務めた。
理事長就任は2回目。1回目は力士暴死事件や大麻問題などから辞任。
その後、角界は八百長問題で存亡の危機に立ち、土俵際からの
出直しとなった。
相撲協会理事長の再登板は史上初。政界では安倍首相が昨年、
再登板を果たし、内政、外交に大懸案を抱えながらも高支持率を
維持している。北の湖理事長も相撲人気のV字回復を果たしてほしい。
まずは日本人力士の奮起だ。日本人の活躍がなく、大相撲の
発展はないのだから。
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