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伝統と景観

ドイツの建築家ブルーノ・タウトが亡くなって今年で76年。
1933年に来日したタウトは桂離宮を世界に紹介するなど、
各地を旅しながら日本の美を再発見したことで知られる。
白川郷には35年5月に訪れ、合掌造り家屋を「建築学上
合理的であり、かつ論理的である」と絶賛したことで、
広く世界に注目されるきっかけとなった。

日本の文化的価値については、しばしば海外から
教えられることも多い。身近すぎて気が付かないのか、
それとも自信がないのか。浮世絵の芸術性の高さを
認めたのも、海外の方が先だった。

昨年は、「富士山」がユネスコの世界文化遺産に、
「和食」が無形文化遺産に登録された。ともに日本を
象徴する文化で、日本人の心が世界に認められたと
胸を張ってもいいと思う。

ただし、もろ手を挙げて喜んでばかりはいられない。
例えば、日本の食文化は、自然や四季の移ろいを表現して
楽しむとともに、年中行事とも密接に関わって育まれてきた。
洋食が普及した今、その食習慣が失われつつあるのでは
ないだろうか。

遺産登録を契機に今後、外国人観光客の増加や
農水産物の輸出拡大も期待される。しかし、大切なのは
伝統や景観を守り、次世代に引き継いでいく努力を
怠らないことではないだろうか。

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