- 2013年7月27日 12:30
- M.N氏の岡目八目
米国自動車産業の"聖地"として自他共に認めてきた
デトロイト市(ミシガン州)が破産申請したというニュースに驚き、
隔世と無常のダブル感に打たれた。それはおごったわけでは
ないだろうに。しかし何かと見誤ったとしか思えない。
日本ではまだ車が高嶺の花だった当時、一家に一台と言われた
米国の普及率を受けて華やかな脚光を浴びていたのが
デトロイト市だった。フォード、ゼネラルモーターズ、クライスラーの
いわゆるビッグスリーがしのぎを削り、「モーターシティ」との代名詞を
奉られた同市は一時180万人の人口を誇ったという。
その聖地をおびやかすようになったのが、モーターライゼーション
(自動車化)では、はるか後発であった日本だったというのが、
米国版「平家物語」の数奇な展開なのだ。取るに足らない相手だった
日本車があれよあれよという間に市場を席巻、気がついた時は
外堀が埋まっていた。
負担総額は邦貨にして約1兆8千億円に達し完全に財政破綻した
同市の現在の姿をテレビが映し出していたが、ゴーストタウンと化した
工場街や荒れ放題の公園などが、かっての栄華をしのばせて
一層哀れに見える。国がどのような救済策を講じるのかは分からないが、
夕張市の例を引くまでもなく限度はあるだろう。
デトロイトの労働者が攻撃の標的として日本車を叩き壊していた
当時の映像を思い出し、水鳥の音に驚いて逃げ出す前に、敵は何か
と考えていたらこういう結果にはならなかったろうにと、凋落の根源
を考えて見た。
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