- 2013年6月25日 20:56
- M.N氏の岡目八目
「私はカモメ」。女性として世界で始めて宇宙飛行に成功した
旧ソ連のテレシコワさんの"第一声"が報じられたのは、今から
50年前、1963年6月のことだった。その2年前に人類初の
宇宙飛行に成功した旧ソ連のガガーリンさんは「地球は青かった」
と言う言葉を残した。「青い地球」を飛ぶ「カモメ」は宇宙の
ロマンを思わせる。
詩人かとも思われたテレシコワさんは政治家になった。
76歳の今もロシア下院議員で外交副委員長を務めて
いられるようだ。50周年の記者会見では、地球を外から見た
一人として人類共存を訴えられた。宇宙のカモメ気分を味わった
女性は今は各国にいられる。50周年を記念してウィーンで
女性宇宙飛行士の討論会が行われた。日本から出席した
向井千秋さんは、宇宙では男女やさまざまな民族が
協力できると話し、「人類の絆」を強調されたそうだ。
女性を抜きに宇宙での絆は語れない時代になった。
月の次の目標になる火星も例外ではない。米航空宇宙局
(NASA)が火星などの有人探査を目指す宇宙飛行士候補として
先ごろ選んだ8人のうち4人は女性だ。地球以外の惑星にも
羽を広げるカモメを想像する。
50年前のカモメは実はテレシコワさんの暗号名で
「こちらカモメ」と交信したにすぎないという。思えば当時は
東西冷戦下だった。冷戦を象徴する暗号名に羽が生えて
伝えられたのかもしれない。宇宙にはロマンの方が似合うようだ。