- 2013年5月 2日 08:50
- M.N氏の岡目八目
安部政権の経済政策「アベノミクス」がもてはやされている。
確かに、政権発足からわずか4ヶ月で東京市場の平均株価は
5000円上昇し、円は1ドル=100円をうかがう局面に至っている。
金融市場は活況を呈しているが、庶民の生活はどうかと言えば、
どこの国の話だといった感じが否めない。
目下のアベノミクスの牽引者役は日銀、黒田東彦総裁だ。
向こう2年で物価指数を2%上げることを目標に、大規模な国債の
公開買い入れを進めている。お金が市中に大量にあふれれば、
物の値段は上がるのが道理だ。
デフレスパイラル脱却のために行っている大胆な政策だが、
国内外からは「実験」とやゆされ、中長期的な成果を疑問視する
向きも少なくない。不況と物価上昇(インフレ)が同居する
スタグフレーションを危惧する声も聞かれる。「空白の20年」
と呼ばれるバブル崩壊後の国内景気の長期低迷は、個人所得を
縮小させたが、物価水準が低かったために庶民は何とか生活できた。
円安に即応する形で輸入関連を中心に物価は上昇し始めている。
政府や日銀の思惑通りに物の値段は上がりつつあるが、
肝心の賃金は遅々として上がらない。名目賃金が変わらず、
物価だけが上昇するのであれば実質賃金は今より低下する。
安部首相は景況に明るさが出てきたことでペアを企業に
求めているが、どれだけの企業が応えているのだろうか。
株高、円安で輸出企業や投資家は恩恵を受けているはずで、
その恩恵を広くかつ迅速に国民に還元する政策を講じる必要が
あると思う。国民には、朝晩消費増税が待ち受けているのだから。