- 2013年4月24日 09:36
- M.N氏の岡目八目
東京銀座のシンボル、歌舞伎座の建て替え工事が終わり、
3年ぶりの復活で周辺に華やかさが戻ってきたが、
新しくなった歌舞伎座の周辺は、開場を待つ人々でごった返し、
華やかな空気に包まれていた。
背後にそびえる高層ビル以外は、改装前の外観がよく再現
されている。ロビーや客席、舞台など内部も同様で、懐かしくもあり、
ほっとした。舞台も何もかも素晴らしい。特に座席がゆったり
しているのがいい。その出来栄えに太鼓判を押した。
1889年の開催から5代目となる歌舞伎座の完成予想図を
初めて見せてもらった時には、29階建てのオフィスビルとの
複合施設となることで、建物の伝統美が損なわれるのではないか
と思った。しかし、工事用外壁が取り払われ全容を現すと、
劇場部分はしっかりと伝統美を引き継ぎ、背後に建つ
オフィスビルが、まるで黒子のように融合していた
再開を待つうちに何人もの名優が世を去り、歌舞伎の危機と
懸念された。こんなときこそ新しい世代が育つはずと、期待の声も
上がった。確かに不在の人々の面影がちらつく。働き盛りの
40代後半から50代の役者は、なぜかもともと層が薄い。
勘三郎さんの早世でさらに際立ってしまった。この喪失感は
癒されるのだろうか。