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円高と円安の変動

対立する価値観の双方を丸く収めることがいかに至難か、
その立場を最も痛感するのは政治家だろう。円高に怨嗟
(えんさ)の声が上がっていたのにいざ円安に振れると
今度は逆の声が上がり出したからだ。

どこまでも平行線をたどる円高と円安の変動はいずれかの側に
利益をもたらし、一方には逆となるのだが、近年はずっと円高が
続いていたため輸出産業を中心に是正の要望が高まっていた。
安部政権の誕生でインフレターゲットが定まるとすぐ市場が反応、
久しぶりに円安基調となったことに喜びの声が上がるのは当然だ。

しかし誰もが円安を歓迎しているわけではない。原材料を
外国から輸入している側には円の目減りとなるので、こちらの
市場もただちに反応した。原油、ガス、石炭、その他天然素材を
高く買うハメになれば一転して円安反対の空気が高まっていく。

輸入も輸出も為替の変動が利害に直接結びつくため、
当事者が一喜一憂するのは仕方ないが、良いときは
口をぬぐっておいて悪くなると騒ぎ出すというのは勝手すぎる。
そこは考えようで、どちらが国益にかなうのか比較してみるのも
ムダではあるまい。

一般庶民には例えば輸入原料を安く入手できる円高の方が
プラスになる。しかし円安となって貿易高が増え、それが経済を
潤すならそちらのメリットも大きいはずだ。つまり二人の息子が
傘屋と下駄屋だったら、雨にしろ風にしろどちらかが困ると考える
のではなく、どちらかが儲かるとプラス思考すれば、そう大騒ぎする
必要もないと思うのだが、甘い考えか。、
           

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