Home > M.N氏の岡目八目 > 心の歌

心の歌

寒波で凍える列島。松が明けないうちから
「体罰死」のニュースに心も冷え込んでしまいそうだ。
だから余計にというべきか、年の瀬にもらった
ある温(ぬく)もりが思い出される。77歳にして、
NHK紅白歌合戦に初出場の三輪明宏さんが、
全身黒の衣装で熱唱された「ヨイトマケの唄」である。

発売は1965年。工場現場で働き、貧しくとも強く生きる
母と子の姿を歌う。長崎市で生まれ育った三輪さんの
幼少時代の友人をモデルにして、作詞・作曲とも自ら手掛けた。
労働への賛歌でもある。創作の原点は、ある炭鉱町での公演
だったそうだ。気乗りしない舞台に立つと客席に目を奪われた。

「手や顔に黒い石炭が染み付いた人たちが歌に聞き入り、
満場の拍手を送ってくれた。自分が恥ずかしかった」。
三輪さんは、その時をこう回想する。額に汗して働く人たちに
喜んでもらいたい。そんな思いでつくった「ヨイトマケー」だったが、
差別的な言葉が問題視され放送禁止になった。しかし
半世紀近く、多くの歌手がそのメロディーをつないでできた。

<どんなきれいな唄よりも、どんなきれいな声よりも、
僕をはげまし、慰めた/かあちゃんの唄こそ世界一.>。
その歌はネットを通じ若者にも反響を呼んでいるそうだ。
親が子を、子が親を思う。いつの時代も錆びない
心の歌に暖をとる。

Home > M.N氏の岡目八目 > 心の歌

Search
Links

ページ上部へ戻る