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誰からも親しまれた人

第一印象は「何というさわやかな、ほどのいい若者だろう」。
昨年11月に亡くなった落語家の立川談志師匠は書いている。
勘九郎さんのことだ。ほどがよいとは、外見が良く好ましい
という意味だ。2人は19歳も年齢が離れているのに意気投合し、
よく飲んだらしい。翌日、寄席に穴をあけ、勘九郎さんが
駆けつけて客席に謝ったそうだ。

「第一印象は現在まで変わらない」と著書『談志百選』にある。
2人は今、1年ぶりの再会をどう思っているだろうか。
「来るの、早すぎるんじゃねえか」と談志さん、たしなめている
だろうか。勘三郎さんが57歳の若さで亡くなった。
物語や役とは別に、役者その人の魅力を味わうのが
歌舞伎の楽しみの一つという。ほどがよく、さっぱりして、
きびきび。歌舞伎の魅力が結晶したような人だった。

テレビを通して、愛嬌のある笑顔に魅了された人も多いだろう。
幅広い役柄、外国公演、歌舞伎の枠を超えた演劇人との競演。
さらには円熟味を増した「勘三郎の世界」。見せ場はこれから
だったはずなのに。東日本大震災の被害地に応援に行けないのが
歯がゆいと・・・いつだったか、そんな意味のことをテレビで
語っていられたことを思い出す。病気から立ち直り、元気な姿で、
復興の様子を見に行ってほしかったと悔やむ。

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