- 2012年11月 8日 17:11
- M.N氏の岡目八目
オバマ大統領の自伝「マイ・ドリーム」を読み返してみた。
オバマ氏が政治家になる前、30代の半ばで書いた本である。
日本では前回大統領選の前年、2007年に出版されている。
印象深いのは、少年時代を過ごしたインドネシアと父親の母国
ケニアを訪ねた時の記述である。市場では雑多なものが売り買い
されている。一見乱雑な中に商売の決まりがあり秩序があった。
そして「皆がつながっていた」。米国社会の荒廃に、オバマ青年は
思いをはせるのだった。
苦しい選挙戦だった。無理もない。この4年間、暮らしはよくなっていない。
変革のうたい文句は色あせ、対外政策でもこれという成果を残していない。
それでも勝利を引き寄せることができたのは、有権者が米国社会の
分断に心を痛め、連帯の大切さを感じ取っているからだろう。
オバマ氏を大統領候補に正式指名した9月の民主党大会。
クリントン元大統領はこんな演説で会場をわかせた。
「勝者が全てを持ち去るような社会を望むなら、共和党候補を
支持するがいい」。富裕層が野放図な金もうけに走り、社会の絆を
断ち切ったことを糾弾(きゅうだん)する演説だった。
「私たちは一つの米国として団結する」。勝利を宣言する演説で
大統領は力説した。任期は4年である。人々の暮らしを安定させ
連帯の輪をつなぎ直すことができればそれこそが、新しい
アメリカンドリームになる。