- 2012年10月29日 19:15
- M.N氏の岡目八目
その店が広島市の路地裏に開店したのは1984年のことである。
山口県宇部市の洋装店に見切りを付け、カジュアル衣料に
舵(かじ)を切った。屋号は「ユニーク・クロージング・ウエアハウス」。
ユニクロの出発点だ。
千を越える店舗、1兆円の売上高に迫るファーストリテイリング
会長兼社長の柳井正氏、35歳の時である。それから28年。
「成長しなければ即死する」。近著『現実を視(み)よ』(PHP研究所)
で拡大路線一本やりの経営論を説くが、挫折も味わった。
着ている服がユニクロだとすぐ分かってしまう「ユニばれ」と
敬遠された時期があった。昨今も「デフレの元凶」と批判されながら、
当人は馬耳東風の様子だ。「圧倒的ナンバーワン」を掲げ、
世界市場で5兆円を目指すという。
強気とワンマン経営なら、こちらも負けてはいない。柳井氏が
社外取締役を務めるソフトバンクの孫正義社長である。
16歳で単身渡米。帰国後に設立したパソコンソフトの卸会社を、
売上高3兆円のグループに育て上げた。
今年の日本の富豪40人ランキングでは3位だ。1位の柳井氏の
後塵を拝したが先日は投資額1兆5千億円という米携帯大手の
買収を発表した。「男子として世界一を目指す」と胸を張った。
孫氏が19歳で立てた「人生50年計画」では、30代で軍資金
千億円,40代に一勝負、50代で事業完成となる。その「完成」
途上の大勝負だ。勝率7割と見たら果敢に戦う。それ以上の
確率を期待したらタイミングを逸する」のだそうだ。