- 2012年10月 5日 14:59
- M.N氏の岡目八目
JR東京駅が5年に及ぶ保存、復元工事を終えて開業した。
東京駅は、首都の中央駅で国の玄関でもあり、何より
創建当初の赤レンガの威容が復元したのが素晴らしい。
駅舎内の東京ステーションホテルは、さすがにリニューアルオープン。
作家の川端康成や松本清張がよく利用したことで知られるが、
大の列車好きだった内田百閒もその一人だ。毎年の年始に
このホテルで大宴会を開いたそうだ。
東京駅は、浜口雄幸首相が銃殺された悲劇の現場でもある。
撃たれた後、「男子の本懐だ」と声を絞り出したが、翌年に死去。
現場を示すプレートが駅舎内にある。
そんなこんなも、大正期からの歴史と伝統を引く、風格ある
赤レンガの駅舎であってこそだ。バブル期には駅の高層化計画も
浮上したというが、そんなことを考えること自体、浅はかだろう。
同じ東京でも「道の起点」日本橋は今、高速道路に覆われて
見るも無残な姿だ。
だいたい日本は、建物などが老朽化すると「新しい物好き」が表れて、
いとも簡単に造り替えようとする。欧州では全く発想が逆のようで、
まず保存や復元を考え、その代わりに内装は現代的に改造した
建物が多い。そうして重厚な街並が保たれている。