- 2012年7月 2日 12:34
- M.N氏の岡目八目
人は「学ぶ」という言葉に一生向き合っていく。
母親の胎内にいるときから学習が始まっているともいえる。
だが、学んだつもりでも忘れてしまう。特に人生勉強では、
その傾向が強いようだ。
心理学者であり、文化庁長官も務めた故河合隼雄さんの
「生きること・学ぶこと」と題した講演内容は興味深かったことを
思い出す。。「いやいや勉強したものは身に付かない。
学んでいて楽しくなかったら本当に学んでいないのだ」と。
河合さんがそう得心したのは孔子の「論語」に出合ったからだ
といわれた。「之(こ)れを知る者は、之れを好む者に如(し)かず。
之を好む者は、之を楽しむものに如かず」。
学んでいる者より、好きだと思っている者が、好きだと思って
いる者よりも、楽しむものが一番上だという意味である。
楽しむ中で知識が身に付けば、こんなうれしいことはない。
同時に河合さんは「苦しみ伴わない楽しみは偽物だ」と忠告される。
学びとはまさに「苦楽」を共にすること。苦しんで難問を解いたときの
爽快感が忘れられない。一つの務めに苦しみもがいて、喜びを
勝ち取りたい。それが勇気なのだ。