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二枚目の名刺

最近、名刺交換した相手から「実はこういうこともしてまして」と
2枚目の名刺を差し出されたことがある。中には3枚目が出てくる
人もいて、話はその枚数に比例して長くなるばかり。
名詞は世界中で使われるが、肩書社会・日本には特に深く根付く。
役所の人から部署が変わるたびに渡されて、退職までに10枚ぐらい
もらうこともある。まめに取っておくと、「あの時はこうでしたね」と
話の接ぎ穂には便利だ。

役所や会社では、職責が重くなるほど名刺は簡潔になる。
同様に政治家も地位を極めると、墨痕黒々とした名前だけになる。
この反対は個人の手作り名詞で、中には人柄まで表れ、
小さな紙片に独特の表現力があることが分かる。

2枚目の名詞には、社会活動の肩書きが多い。短期間、
町づくり団体などを立ち上げ、その間だけ配る人もいる。
ある大学生は、ボランティアの日本支部幹部として数百人を束ねたが
肩書きに恋々とせず、さっさと身を引いて就職した。

聖徳太子の十七条憲法には「官のために人を求め、人のために
官を求めず」とある。官(役職)に適材を求めても、人のために
官職を設けるなという戒め。官も民も本質は同じで、やはり立場や
肩書きは、社会に役立たせるためにある。

2枚目の名刺を出す時、人はどこかうれしそうな表情を見せる。
2枚目は「好きでやっているから」なのだろう。そんな愉快な
肩書き社会なら歓迎したい。組織や団体の垣根を越えて
新しい動きになり、やがて地域に活気が生まれることだろう。

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