- 2011年12月22日 09:04
- M.N氏の岡目八目
先日のNHKテレビ番組「瀬戸内寂聴青空説法」で
「忘己利他(もうこりた)」の話を拝聞した。伝教大師・最澄の
「己を忘れて他人の利益のために尽くす」ということ言葉だった。
これを実行しているのがボランティアだという。
青空説法で寂聴さんは陸前高田市でボランティアで活動する
若者たちと出会ったエピソードを語っていられた。
今回の大震災では多くの若者たちが被災地でボランティア活動
をしている。こうした姿から人は生来、人を助けるという遺伝子を
持っていると痛感した。よく「今どきの若者は・・・」
と嘆く中高年もいるが、若者たちにしっかりと他人を思いやる
「忘己利他」があるのだと心強い思いがしている。
第2次世界大戦後の経済成長の原動力となった経済至上主義。
これは経済成長こそすべてという価値観であり、必然的に
会社人間が励行、優遇された。会社で出世してお金をたくさん稼ぎ、
家族を幸せにする。それが今の若者たちの親世代のおおかたの
価値観だった。
ところがそれを見て育った若者たちは経済成長だけを追い求める
ことの無意味さや日本経済の厳しい現状を理解することで、
親世代と考え方が変わってきた。
これまでの経済活動一辺倒の価値観から少しずつ他者のために
自分ができる範囲で何かをしようという「忘己利他」の精神が芽生え、
仕事一筋より仲間と助け合って生きていくことの大切さに気付いた。
「『もうこりた』を『もう懲りた』にしちゃだめよ」。
青空説法のあとに広がる笑顔と涙に、寂聴さんの底知れぬ魅力を感じた。
(M.N)