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安全基地

「最近の若い人は内向的で困る」言われたことはするんだが、
自分から進んでやろうという意欲がない」。若者に対するぼやきは
今も昔も大人の口癖のようなもので絶えることがない。

自分も若いころ「最近の若い者は・・・」と言われ気分を害した
経験がある。だからなるべく言わないようにしてきたつもりだが、
つい口を滑らすこともある。しかし昔と今では事情が違うことに、
はたと気付いた。政治学者、姜尚中さんがラジオで話していた。
「今の若者は『経済成長』や『右肩上がり』というのを知らない」と。

確かに物心ついた1990年ごろにはバブルが崩壊。
「失われた10年」が始まり、日本経済は長い停滞期に入った。
金融機関の破綻や雇用不安など過酷な時代に彼らは育った。

幼児の発達に関して「安全基地」という用語がある。
親が見守っているという安心感が得られる居場所のことで、
その保証があると冒険心が芽生え人間関係が広がるそうだ。

経済成長率が10%を超えた古き良き日本は若者には夢物語。
まずは安全と保証が第一。「安全基地」もなしに冒険はできない
ーというのが本音だろう。

欧州や米国に反格差社会デモが広がっている。高い失業率や貧困層の拡大、
福祉・教育の切り捨てに若者が怒りの声を上げている。時代の閉塞感は
日本も状況は同じ。「安全基地」を構築することが急務である。

(M.N)

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