- 2011年9月25日 16:31
- M.N氏の岡目八目
今夏、ヒマワリを育てて種子を福島へ 贈ろうという運動が
全国的に展開された。土壌の放射性物質を吸収しやすいとの触れ込み
だったが、効果は期待外れで関係者を落胆させる結果となった。
農地除染の実証試験を行った農林水産省によると、ヒマワリなど
植物によるセシウム除去効果は小さいことが分かった。
速効性が求められる現状では普及には適さないとの結論だ。
福島県飯館村で栽培したヒマワリの茎や根を調べたところ、
土壌1平方メートル当たりに含まれるセシウムの2千分の1しか
吸収していなかった。植物除染では気の遠くなるような年月が
必要となってしまう。
除染には表土除去が最も効果的で、4センチ削り取るだけで
セシウム濃度は4分の1に低下するという。
森口祐一・東京大教授の試算では、除染が必要な地域は福島県を中心に
2千平方キロあり、すべての表土を5センチ削り取るとすると
体積は1億立方メートルに達する。
東京ドーム80個分に相当する汚染土壌の安全な保管場所など
どこにもない。土壌のセシウムを分離することは技術的に難しく、
現状ではコンクリート製容器に密閉するしかない。
自治体ではごみ焼却施設から出る汚染焼却灰の処分にも困っている。
除染必要地域の7割は森林、残りが農地と市街地。用途に応じた
除染方法、費用負担など国が早急に示すことが必要と思うのだが。
(M.N)