Home > M.N氏の岡目八目 > ピザの斜塔

ピザの斜塔

倒れそうで倒れないイタリアのピザの斜塔は、
およそ20年に及ぶ修復と清掃作業を終え、
建築当時の姿を取り戻しているそうだ。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産に
登録されているピザ大聖堂の鐘楼。
総大理石造りで円筒形の8階建て、高さ約55メートル、
総重量約1万4000トン。地盤沈下に悩まされ、
現在も約5・5度(南側70センチ)傾いたままで、
傾斜の進行は止まっていないという。

自然傾斜に歯止めがかからず、当初計画より低い設計に
見直した。最上階は傾斜角に対応し唯一鉛角な施設とした。
16世紀には傾斜角を活用しガリレオ・ガリレイによる物体
落下の法則に関する実験が行われたとの伝説も残されている。

米ニュース雑誌「タイム}によると、「ピザの斜塔」は
世界で最も危険な建物にランクイン。
2位は、アラブ首長国連邦の「キャピタル・ゲートタワー」、
3位はスペインの「プエルタ・デ・エウロバ」(通称ヨーロッパの門)で、
ピザの斜塔以外はごく最近に造られた建物だ。

ピザの斜塔は倒壊の危険回避に向け、世界の科学者や
物理学者らが知恵を絞り、修復作業に当たってきた歴史もある。
今回はスモッグによる汚れを落とす清掃と併せて修復作業が進められ、
4月末に完了した。関係者は「今後300年は倒壊の危険はない」
と豪語している。
 
斜塔内には傾斜や振動、ゆがみを監視する各種センサーを設置。
いわば満身創痍(そうい)の状態ながら世界の知恵と努力に支えられ、
斜塔の芯は折れることなく保たれている。世界に支援の輪が広がる
東日本大震災に重なる思いがしてならない。


(M.N)

 

Home > M.N氏の岡目八目 > ピザの斜塔

Search
Links

ページ上部へ戻る