- 2011年5月10日 14:14
- M.N氏の岡目八目
「母ありて/われかなし/母ありて/われうれし/(中略)
母ありて/われあたたかなり」。詩人サトウハチローが残した
詩のうち3千は母に関するものだ。
東日本大震災で被害のあった岩手県北上市は14年前から
サトウハチロー記念「おかあさんの詩」コンクールを
実施しているそうだ。寄せられた作品には母への思いが詰まる。
岩手県の幼稚園児の詩。「いちばんめに好きなのは
とうさんとにいちゃん/でもね、かあさんのことは/もっと大すきだから
/ゼロばんめ/ゼロだからいちより/ずっとぼくにちかいんだよ」
母の字は女性が子を抱く姿をかたどったとされる。
また母語、母国、母校など、母には源という意味もある。
サトーハチローと園児の詩には、命の源である母を慈しむ気持ちが共通する。
働く母親は外で仕事、家で家事・子育てに追われ、専業主婦は
一日中子どもと向き合う。「トイレでも/一人になれない/母親業」
新読書社「育児・子育て川柳」)。家事・育児に追われ、
家族の感謝を十分かみしめる余裕がないのも今どきの母親の一面か。
今年も6月から作品を募る北上市。被災地ではまだ作詞どころではない
地域もあるかもしれない。母親への感謝を気軽に詩につづる日常を
一日も早く取り戻してほしい。8日は母の日だった。各家庭で
素直に母親への感謝を伝えたい。「お母さん、ありがとう」の一言とともに。
孫に母親のありがたさを話してやったのだが、孫からの返事は
「ジィジィはバァバァを大切にしているの」だった。
(M.N)