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自立することの大切さ

日本マラソン界に新鮮なスターが誕生した。
先日の東京マラソン。2時間8分37秒の好記録で
日本選手最高の3位に入った川内優輝選手だ。
今夏、韓国で開かれる世界選手権の代表にも内定した。

全国的には無名の存在。学習院大学時代、箱根駅伝には、
出場できないチームの選手を集めた学連選抜の一員として
2度出場したが、目立った活躍はしていない。
おととし学習院を出て埼玉県職員になり現在は、
埼玉県春日部東高校定時制の事務員。

勤務は昼すぎから午後9時ごろまでフルタイムで働いて
いられる。勤めに出る前に2時間ほど近所の公園を走る。
月間走行距離は約600キロ。全日本級の選手は
千キロ前後を走るというからその6割程度である。
その代わり練習メニューは自分で考え、
体調と相談しながら決めるそうだ。

42・195キロを走るマラソンは苦痛である。
心臓はあえぎ、筋肉は痛めつけられる。それでも走るのは、
自らが選んだ事情。自分との約束である。
苦痛は避けられないけれども、約束を果たすかあきらめるかは、
自分が選択できる。それが常にコーチの指導下にあり、
組織の一員として「仕事」で走り込みを続ける実業団選手との
決定的な違いである。

川内選手は、その辺の事情を「遠征費も自分持ち。本当に
好きでないとやっていけない」といわれる。
無名の23歳は自ら挑戦し、自分との約束を果たしたことで、
自発的に行動することの大切さを教えてくれた。
世界選手権には有給休暇か、就業規則にある
職務専念義務免除を利用して参加されるそうだ。 

(M.N)


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