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人道危機回避を願う

「あなたに王座を与えたのは、私にココナツの殻をくれたのと同じ人」。
アフリカのことわざだ。すべて神のおぼしめし。
支配者が人より偉いとか優れていることはないことを表す。

多くのアラブ諸国で、民衆は強大な権力に無理やり抑え込まれてきた。
独裁者は沈黙を強いることはできても、心までは支配できない。
長年の矛盾がついに噴き出したと言えようか。

チュニジアの「ジャスミン革命」に始まり、エジプトの独裁政権も倒した
反体制デモは周辺各国に拡大。徹底した強権体制を敷き、
揺らぐことがないと思われたリビアのカダフィ政権が、
存続の岐路に立っているようだ。

軍が中立を守ったチュニジアやエジプトと異なり、武力鎮圧を強行。
デモ弾圧の犠牲者の葬儀で参列者にまで実弾が浴びせた。
外国人の雇い兵を動員した容赦ない姿勢に、国民の反感が強まる。

軍の内部や政権内からの離反が広がっている。
それでもカダフィ大佐は「反逆者は粛清する」と、デモ隊を
徹底弾圧する姿勢を示している。国際社会の人道危機回避を求める声に
耳を貸す気配はない。

アフリカにはこんなことわざもある。
「クモも巣を張り巡らせれば、ライオンでも捕まえられる」。
独裁者への恐怖を乗り越えた民衆を止めるすべはないように見える。
犠牲者が際限なく増えないかが心配だ。

(M.N)

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