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エジプトの政情不安

30年前、エジプトの大統領が暗殺されたニュースに
驚いた記憶がある。米国の仲介で敵対するユダヤ人国家の
イスラエルとの和平に合意、ノーベル平和賞も受けた
サダト大統領は1981年10月、軍事パレードを観閲していたさなかに、
反発を強めていた勢力の銃弾に倒れた。

当時、副大統領だったムバラク現大統領がその跡を継いだ。
以後、この国では政権トップが代わることなく同大統領が
その座に居続けてきた。今回の反政府デモの報道に接して、
そのことをあらためて思い起こした。

巧みな外交と経済復興の裏で、赤ん坊が30歳の大人になるまでの
長い年月にわたり強権体制が敷かれてきた。打倒を求めて
大規模なデモが繰り返され、そのデモ隊と大統領支持派が衝突し、
多数の死傷者が出る事態ともなった。

「中東の大国」で先進国との関係も良好なエジプトの
政情不安が続けば、他の国にも深刻な影響を及ぼしかねない。
現に原油価格の上昇傾向がこの騒乱で加速し、米国の先物相場では
2年ぶりの高値を付けた。

国民同士が血を流して争うような不幸はどのような事情があるにせよ
終わりにしなければならない。イスラエルとの間で
歴史的な平和条約締結を果たした国だけに、国内安定への道筋は
きっと描けるはずと思うのだが。

(M.N)

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