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批判と評価

JR両国駅からほど近い旧本所松坂町、
現在の墨田区両国3丁目に白いなまこ壁に囲まれた
「吉良邸跡」がある。赤穂の四十七士が
討ち入りを果たしたところだ。

かっては約8400平方メートルもある広大な屋敷だったが、
いまは約98平方メートルしかない。
邸内には苔(た)むした「吉良の首洗い井戸」があり、
歴史を感じさせる。

吉良上野介といえば、忠臣蔵ではすっかり悪役とされたが、
邸内にあった資料によると、領地三河の吉良(愛知県吉良町)では
評判よく、人々が「吉良様」と呼んで敬う善政の殿様だったという。
領地に滞在しているときは赤い馬に乗って巡回し、
「吉良の赤馬」は、名君と共にその名を残す。

吉良の殿様でなくとも人の評価はつくづく難しい。
ある意味で評価と批判は表裏一体。
批判を受けるのは権力者の常であり、
どちらが正しいとも言い難い。

その点は、現在の政府も同じ。批判を恐れては何もできないし、
批判に謙虚でなければ国民にそっぽを向かれてしまう。

経済の建て直しや雇用の拡大、税と年金など課題が
待ったなしの状況の中で、内閣は歴史にどのような評価を残すのか。
いよいよ真価を問われる正念場を迎えた。

(M.N)

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