- 2010年12月20日 18:12
- M.N氏の岡目八目
誰にでもいつか第一線を退く時がくる。
だが、定年のあるサラリーマンや公務員などと違い、
実力次第のプロスポーツの世界では引き際が難しい。
大別すれば、華のあるうちに身を引くか、
燃え尽きるまで続けるか。プロ野球なら、前者の代表格は
長嶋茂雄さん、後者は野村克也さんになろうか。
先日、引退を表明した大相撲の関は野村さんに
近いかもしれない。
同志社大相撲部の出身で38歳、現役最年長の関取だった。
長く三役や幕内上位を務め、幕内在位は80場所。
期待された大関には届かず、最高位は関脇ながら
金星は史上4位の11個で横綱キラーとしても人気があった。
突き、押しの正攻法の取り口そのままの誠実な人柄で知られ、
対戦力士と立ち合いの呼吸が合わない時には「すみません」
の声が集音マイクに拾われるほどの大きな声で謝る、との
エピソードが残る。
最近は幕内下位と十両を往復する場所が続き
「いい相撲が取れなくなり、体力の限界を感じ」決断したという。
その一方で「ここまで長くできたので、やり遂げたなと思う」
と語る表情にはすがすがしささえ漂う。
華やかさには欠けるが、土佐の海関流の
「引き際の美学」なのだろう。
(M.N)