- 2010年11月10日 17:46
生活習慣は時代とともに移り変わる。
読書もそのようだ。
本を手に取ってページをめくるだけが
読書ではない。そんな時代になってきた。
電子書籍が注目されている。
文字や絵などを紙に印刷するのではなく、
電子情報とし記録した「書籍」のことである。
米国で市場が拡大し、黒船のように日本に押し寄せてきた。
きっかけは多機能携帯端末iPad(アイパッド)の発売だ。
ネット上で書籍を購入し、受け取ったデータを画面で読む。
後を追って各社からさまざまな端末が発表され、
出版業界も電子出版に力を入れ始めた。
にわかに火が付いた格好だ。
娘から借りて使ってみると、工夫がなされているのが分かる。
画面上のページを指でめくるようにして操作する。
内容をコピーしたり、言葉を検索したり、何冊分ものデーターを
持ち歩けるのは、紙にない利点だ。
活字離れが指摘されている。
本の4割が売れずに返本される現実もある。街の書店も減った。
電子書籍が出版文化を盛り上げてくれるのなら、
新技術も大歓迎だ。ただし、機械の操作に慣れない人は
なじみにくいに違いない。
どちらかが一方を駆逐する関係ではなく、うまく共存できればいい。
肝心なのは書籍の内容に親しむ姿勢である。
「読め、読め、読め。何でも読め。駄作も古典も良しも悪(あ)しきも」。
米国のノーベル賞作家、フォークナーの言う通り、
読書の楽しみは読むことから始まる。
(M.N)