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人生の充実

3年前、東京・六本木にオープンした複合商業施設「東京ミッドタウン」。
その敷地の一角に、ガラス張りの独創的な形が美しい
デザイン・ミュージアム「21-21デザインサイト」がある。

服装デザイナーの三宅一生さんが建設を提案し、
建築家の安藤忠雄さんが設計した建物だ。
その二人がそろって文化勲章を受賞された。
これも何かの縁だろう。

日本の着物のように体を包む「一枚の布」をコンセプトに、
西洋と東洋を融合した衣服を創造した三宅さん。
一方の安藤さんは、シャープなコンクリート打ち放しの外観や光などの
自然環境を大胆に取り入れた設計で世界の建築界をリードしてきた。

歩みは必ずしも順風漫帆ではなかった。たとえば、
高校卒業後に独学で建築の道に進んだ安藤さん。
思うようにいかないことばかりで、大抵は失敗に終わったという。
(自伝「建築家安藤忠雄」新潮社」

そして、こんな幸福感を導き出す。
<人間にとって本当の幸せは、光の下にいることではないと思う。
その光を遠く見据えて、それに向かって懸命に走っている。
無我夢中の時間の中にこそ、人生の充実があると思う>

三宅さんと安藤さん。二人が遠くに見据えてきた<光>は、
もちろん文化勲章などではないだろう。
無我夢中のクリエーテイブな挑戦が、
これからまだまだ続いていくことだろう。

(M.N) 

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