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スポーツの秋

気持ちに体がついていかない。
キャッチボールでボールをとろうと身を乗り出せば足がもつれる。
年齢とともにわが身がもどかしく、運動するのもおっくうになる。

それに引き換え、クルム伊達公子さんはどういうことか。
引き合いに出すには恐れ多いが、先日の女子テニス国際大会での
機敏な動きには目を見張った。40歳の誕生日に
世界ランキングで格上の若い選手と堂々の戦いぶり。
前回の優勝者ら2人も下している。

26歳でプロを引退し、11年の空白期間をおいて37歳で復帰した。
日本選手で初めてトップ10に入った実力とはいえ、
伊達さんが活躍したのは1990年代前半。
いまは力とスピードの時代に変わっている。
追いつくには並外れた精神力と努力が要ったろう。

テニスは若さだけではない。かっては勝つことだけに
没頭したけれど、いまは相手の精神面や技術を分析しながら
楽しんで試合ができるようになったといわれる。
伊達さんは20代との違いを、こう自著に記されている。
今度の対戦でも緩急を交えて相手を惑わせる技が光った。

復帰は「テニスが好き」という自分の気持ちに
正直になれたから、といわれる。周囲の目を気にして
ためらっていたのを、ドイツ人のご主人が押し出している。
伊達さんからは、人それぞれに年相応の
チャレンジの仕方があると教えられ、勇気づけられた。
プールで週1回体を鍛えているが、
年齢や体力を言い訳にせずに体を動かすとしよう。
いい時節の到来である。

(M.N)

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